高齢者の不安や孤独に「寄り添う」悪徳商法10選 90万円のリフォーム工事で321万円請求の驚愕
住宅の床下に潜りながら、男はまくし立てた。
「もうジュクジュクでございま〜す。湿り気たっぷり。カビだらけ! こんなんほったらかしたら、ほんまに体も悪くなります」
床下点検に来たリフォーム業者の男だ。この点検をきっかけに、大阪府在住の吉永慶子さん(仮名、73)は約300万円の工事を契約させられた。経緯はこうだ。
吉永さんの家に電話があったのは、2019年1月のこと。「床下の点検に来たいという電話でした。数年前にしてもらったシロアリ予防工事の点検だと思い、そう尋ねると相手は否定しませんでした」と吉永さんは言う。
放置すれば病気になる
訪れた業者は以前の工事業者とは無関係だった。床下に潜り、中の映像をテレビに映しながら「放置すれば病気になる」と不安をあおった。吉永さん宅は築52年の木造2階建て。軽度の障害がある40代の息子と2人暮らしだった。
「このまま放っておいて家が傾いたら困る。私がおらんようになっても、息子がこの家で暮らしていけるようにと思って」
業者が提示した工事費用は約90万円。一括で支払うつもりで契約書にサインした。
工事当日の朝、業者はトラック2台と軽自動車2台という大所帯で訪れた。その日現れた社長が床下に入ると、「大変や。このままだと家がガタガタになる」と言って、調湿剤の散布や床下換気扇の設置など追加工事を勧めた。
吉永さんは「お金がない」と断るも、社長は「来年はもっとお金がかかる。分割で払えばいい」と食い下がる。トラックには900キログラムもの調湿剤を含む大量の機材が積まれていた。7人ものスタッフに囲まれた吉永さんは工事を断り切れなかった。
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