残念ながら、政策担当者がほしいのは「◯◯地域が幸せになること」ではなく、政策で使える「成功事例」なのです。
それゆえ、成功事例でなくなった途端、その地域は見捨てられ、成功事例にも掲載されず、講演会にも呼ばず、モデル事業の対象にさえならなくなります。そして、担当者は異動で変わり、その事実さえ忘れ去られるということになりかねません。あとに残るのは、せっかく伸びようとしていた「芽」がつぶされてしまった地域なのです。
「情報格差ビジネス」はもう要らない
どこに問題があるのでしょうか。調査業務、視察見学、講演会、モデル事業のほとんどは税金で行われています。
これらが、地域のためではなく、地域活性化政策にかかわる、行政、一部受託企業などの事業のために行われているのが問題です。
地域活性化で成果をあげた地域と、成果をあげられていない地域との間にある「情報格差」のネタにしているだけです。実態としては、税金を使って成功事例をどんどんつぶして回り、後発地域にとっても損失となっている現実があります。
地域活性化は、現場が最先端です。最先端を歩む先進的な地域は自らが情報発信し、関心のある人々に、適切な情報を提供していけばよいわけです。
今はインターネットもあり、各地域の現場が直接的に連携し、情報を交換することが簡単になっています。互いの地域で情報を交換しあえば、税金を使って一部の企業しか儲からないような事例集などの情報格差ビジネスの余地自体がなくなります。フェアな環境ができます。
そして、各地の取り組みのノウハウを知ることができた際に、少しずつでも「お礼」の形で資金を出し合えばよいのです。成功事例を生み出した地域は、その対価を元手に、次なる事業に取り組めば、地域の取り組みは持続的になっていきます。互いに挑戦し、その取組みの内容を教えあい、「出せる範囲」で対価を支払う関係をやっていけば、さまざまな地域課題を解決できる知恵が全国から生まれてきます。
一過性の注目を集めることに重点を置くのではなく、地味でも常に積み上げ続けることができれば、地域の取り組みはもっと発展していくと思います。
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