「足利義昭」信長を裏切り、室町幕府が滅びる暗路 強き戦国武将を次々頼り生き延びた外交上手

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NHK大河ドラマ「どうする家康」
NHK大河ドラマ「どうする家康」では室町幕府最後の将軍、足利義昭を古田新太さんが演じます(画像:NHK大河ドラマ「どうする家康」公式サイト)
NHK大河ドラマ「どうする家康」第12回「氏真」では、今川氏真の苦悩を溝端淳平さんが見事に演じ、話題となりました。第13回「家康、都へゆく」では、予告に登場した古田新太さん演じる白塗りの足利義昭が注目されています。この室町幕府最後の将軍の生きざまを『ビジネス小説 もしも彼女が関ヶ原を戦ったら』の著者、眞邊明人氏が解説します。

足利義昭が将軍につくまで

室町幕府最後の将軍となった足利義昭は、第12代将軍・足利義晴の次男として生まれました。兄は「剣豪将軍」と呼ばれた第13代将軍・足利義輝です。

足利将軍家は、家督相続者以外の子供は仏門に入るしきたりになっていたので、義昭も一条院門跡として「覚慶」と名乗っていました。そのまま僧として一生を終えるはずでしたが、将軍である兄・義輝が永禄の変で三好三人衆に殺されると、還俗して「義秋」を名乗り、兄の後継となるべく活動をはじめます。義輝を殺害した三好三人衆は、義輝のいとこである義栄(よしひで)を次の将軍に擁立するために動きました。

義秋は、全国の諸大名に決起を促します。これに応えたのが尾張の織田信長でした。義秋は信長を支援すべく、信長が対立していた美濃の斎藤龍興との和睦を仲介します。これに一度は応じた龍興でしたが、信長が京へ出兵すると和睦を破棄し攻撃してきたため、信長の出兵は失敗に終わりました。

その後、義秋は朝倉氏を頼りますが、朝倉氏の当主・義景は上洛の意思がなく、その間にライバルの義栄が第14代将軍の座についてしまいます。

この頃に義秋は、名を「義昭」に改めました。

失意の義昭を救ったのは信長でした。

先年、美濃の攻略を成功させていた信長は、松永久秀を抱き込んで六角氏を下し、ついに上洛を開始します。これに呼応し、義昭は上洛を果たしました。信長は将軍・義栄を擁する三好勢を凄まじい勢いで排除し、畿内を制圧します。

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