分身ロボット働くカフェが体現する「障害と社会」 日本橋で外出困難者が接客、客の大半は外国人
ロボットが至るところで人間のサポートをしてくれる……そんな社会は遠い未来と思っていたら、コロナ禍を経てあっという間に現実になりつつある。
もっとも生活の身近にあるのがファミリーレストランや焼肉店などで活躍する配膳ロボットだ。
すかいらーくホールディングスはガスト、しゃぶ葉、バーミヤンなど全国約2100店舗に3000台のロボットを導入。目的は「客を待たせない」「従業員がおもてなしに専念」「癒やし」などの顧客満足度向上や、スタッフの作業負担軽減、人手不足対策などだ。
そのほかにも、医療や介護、物流など、ロボット活躍の場はどんどん広がってきている。
今回はその中でも、「働く」という可能性を切り開き、さまざまな立場の人と人をつなぐ役割を担うロボットを取り上げる。
「働く」可能性を模索し広げる
取材したのは、東京日本橋の「分身ロボットカフェDAWN ver.β」(以下、DAWN)。「OriHime」「OriHime-D」などの「分身ロボット」が働くカフェだ。
分身ロボットとは、人がIT技術で遠隔から操作して動かすロボットのこと。開発者はロボットコミュニケーターで、オリィ研究所共同創設者代表取締役の吉藤オリィ氏だ。
同研究所は2021年6月、分身ロボットを通じて、外出困難な人にこれまで閉ざされていた「働く」可能性を模索し広げる、社会実験の場としてDAWNをオープンした。
DAWNでロボットを操作しているのは「パイロット」と呼ばれるスタッフだ。病気や障害などで外出が困難なため、自宅からロボットを遠隔操作し、主な仕事である接客を行っている。オリィ研究所広報の濱口敬子氏によれば、現在、同カフェにはパイロットが約70名所属しているという。
立地は繁華街ではないが、分身ロボットが働く様子を見たり、パイロットとコミュニケーションすることを目的に多くの人が訪れる。とくに海外旅行者が戻ってきている最近では、海外からの客が7〜8割、多い日では9割を占めるそうだ。
どのような接客が受けられるのだろうか。客として同カフェを取材した。
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