分身ロボット働くカフェが体現する「障害と社会」 日本橋で外出困難者が接客、客の大半は外国人
「発症してすぐ仕事をやめなければならなくなりました。夫と2人暮らしなので、日中は1人でポツンとしているしかない。SNSで分身ロボットカフェのことを知り、ちょっと体調が良くなってきたところで、思い切ってトライしてみました。朝、夫とチラッとしゃべるだけという毎日だったのが、今ではお客様と出会ったり、これまでつながれなかったような人とも仲間になれたり。一気に世界が明るくなった思いがしています」(ちふゆさん)
ちふゆさんの前職は舞台の裏方。仕事では会話は最小限だったため、知らない人とのおしゃべりに最初は緊張したそうだ。しかし客には暖かい人が多かったため、楽しみながら続けてこられた。
ロボットの操作は元から家にあったノートPCで行っている。とても簡単で、ワンクリックで操作できるそうだ。
OriHimeではウミガメのヒレのような形の腕をパタパタと動かしたり、うなずいたりして感情を表現できる。
こちらも、しゃべりながら動かすのは最初大変だったが、すぐに慣れたそうだ。
そのほか海外の客が多いことから、パイロットは各々、英会話も勉強している。もともとしゃべれなかった人も必死で学び、接客ができるまでに上達しているという。
1日に複数の仕事をかけもちで行う
またDAWNは社会実験の場として、カフェ以外の働く場をパイロットたちに紹介している。例えば企業の受付やファストフードチェーン、アミューズメントパーク内のレストランなど、さまざまな例があるそうだ。
ちふゆさんも、1日に複数の仕事をかけもちで行うことはよくあるという。2022年の11月に福岡市でDAWNの期間限定カフェを展開しており、その間は日本橋と福岡をオンライン上で行き来していた。
「東京と福岡を一瞬で移動しているみたいなもの。昔舞台の仕事をしていたときは、全国ツアーでは車で何日もかけて移動していました。それを思うと不思議な気持ちです」
またちふゆさんにとっては、パイロット仲間ができたことも喜びだった。接客をしていないアイドルタイムには、ロボット同士「無駄話」をしているという。
確かにDAWNに所属するパイロットは個性的で面白い人が多いようだ。
例えば「ナオキ」さんは心臓移植を待って自宅療養をしているパイロット。接客がうまく、客からの声かけにも当意即妙な答えを瞬時に返してくれる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら