「AIIBの傍観者」になったのは、米国の失態だ クローニン氏、オバマ政権の問題点を斬る

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米国は、進歩、問題解決、 そして誰もが従うことのできるルールを推し進めていかなければならないのに、我々はTPPという重要なイニシアティブに過度に依存し、さらなる貿易・投資・開発プログラムの推進に失敗してきた。米国はAIIBに関与し、ブレトン・ウッズ体制の改革に取り組むこともできたはずだ。

我々は中国のイニシアティブを導くことにより、この地域で70年間有効に働いてきたグローバルなルールに従わせるよう、努力しなければならなかった。もちろん中国が提案するインフラ銀行に、我々の同盟国が参加することを妨げてはならなかったのは確かなことだ。

むしろ、米国も参加するべきであり、そうすることで、インフラ投資を管理するルールについての発言権を求めるべきだった。具体的には、この地域において重要な問題である労働、環境などに関するルール・規制の制定を助けることのできる地位が得るべきだった。

ところが実際には、中国による銀行設立に対する米国の反応は、過剰に防衛的なものだ。米国は中国の計画を阻止しようとしている。確かに、中国のインフラ投資の実績はあまり良くないものであり、これは事実。しかし、我々はそこに参加し、内側から影響力を行使するべきなのだ。

米国は気まぐれな国だと思われている

──オバマ政権内の誰が、中国のAIIB案に対する判断を誤ったのか。

特定の誰ということではなく、結局のところ、ホワイトハウスの責任だ。この政権からこれまでに発せられたメッセージはひどいものだった。

とはいえ、私が政権批判をしているとは取らないでほしい。広い範囲で聞かれる意見を述べているのだ。例え、今の政権がAIIBについての明言を避けたいと考えていたとしても、例えばこんな言い方もできただろう。「AIIBの設立に反対することも、地域内の友好国や同盟国の参加を妨げることもしない。しかし、議論されるべき多数の疑問点がある。それがしかるべく議論されることを望む」。

そうした姿勢であれば、妥当な立ち位置だ。こうしたメッセージの伝達は、一貫して、繰り返し行われなければならない。朝令暮改でないことが分かってこそ、我々の原則は意味のあるものとなりうる。現時点で、米国の友好国は我々を気まぐれな国と捉えており、そうした立場は米国にとって非常に不健全だ。

──THAAD(終末高高度防衛ミサイルシステム)とAIIBに関する見解の相違に見られるように、韓国との関係は昨今、波乱含みだ。

パク・クネ大統領は国内において多くの問題に直面している。そのため、彼女は中国との関係改善に多くの可能性を求めてきた。そこには経済的なインセンティブがあるだけでなく、北朝鮮へのある種の影響力をもたらす。また、パク大統領は日米関係に対して揺さぶりをかけている。歴史問題についての補償を行わせると同時に、防衛問題でソウルに不都合なことが起きないよう、米国が日本に圧力を掛けることを望んでいるのだ。

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