「AIIBの傍観者」になったのは、米国の失態だ

クローニン氏、オバマ政権の問題点を斬る

今でも米国と韓国の同盟は強力だが、以前の方が良好だった。現在は、ソウルとの間に、本来あるべき高次元の、深い信頼関係がない。この原因の一端はワシントンにもあるが、非常に小規模な側近グループに依存するパク大統領の政治スタイルの悪弊でもある。

──THAADに対してソウルが及び腰な理由は?

ミサイル防衛は、韓国の国家安全、また在韓米軍の保護のために、非常に大きな意味を持つ。平壌がミサイル、潜在的には核兵器保有量を増大させているという現状を踏まえると、その重要性は高まっている。

4度目の核実験、または迎撃の非常に困難な移動式ミサイルを含む更なるミサイル発射といった北朝鮮による深刻な挑発行為が予想される。種類と量との両面で拡大する北朝鮮のミサイル能力を勘案すれば、多層的なミサイル防衛が必要だ。究極的には、パトリオットPAC-3防空システムのようなシステムと比較して、より高高度で、より広範囲の防衛が可能なTHAADシステムは適切なものだ。

THAADは中国の脅威ではない

これはいかなる形においても中国に対する脅威となるものではないが、中国がどう捉えるかはまた別の問題になる。継続的に、声高に、THAADが中国と無関係であることを主張していく必要がある。狙いは、あくまで北朝鮮の能力に対する抑止である、と。

しかし、現実的には、中国に接近中のパク大統領は、次の危機が訪れるまでは米国のTHAAD配備を受け入れないだろう。この件について、韓国政府は話題にしたがらず、THAADについて検討を行っていることすら認めようとしないだろう。非常に扱いづらい問題だ。

──その一方で、ソウルはAIIBに対して多大な関心を示している。

この件で、韓国はオーストラリアや英国と同様、米国を非難している。しかし、こうした国々は一様に、米国との緊張を高めるリスクを負わずにこの重要な構想に参画できるか否かについて、確信が持てていない。ワシントンからのメッセージは、現状は混乱したものだ。

こうした国がAIIBに参加することに対し、米国側からの返答は、確固たる「イエス」であるべきだ。我々は、そうした国々がAIIBへの参加により恩恵を受けることを望んでいる。同時に、G20経済の繁栄へとつながった類の制度的ルールを強く求めていくようにも望んでいる。

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