日本でインターネットをやるのは今でも大変 鈴木幸一×松本大「神田錦町時代」を語る

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「ここまで書いちゃったんですね!」(松本社長)

松本:あ、これ(「日本インターネット書紀」をめくりながら)、うちとDLJの合併構想が潰れた話も書いてあるんだ!

鈴木:大丈夫だよ、安心して。詳細には書いていないから。

3月13日、鈴木氏はIIJの創業から現在まで、日本のインターネットの歴史を綴った『日本インターネット書紀』を上梓した(上の画像をクリックするとアマゾンの販売サイトにジャンプします)

松本:なるほど。事実そのままとは少し違うけれども、ほぼこのとおりです。翌日に記者会見をする手筈も整えていたのに夜8時に破談したとも書いてあるんですね。この本は買わないと(iPhoneでアマゾンにアクセスして注文)。はい、買いました。

鈴木:いろいろありましたが、それは公にはできません。ただ、僕は今でも思うんだけれども、やっぱりあのときにマネックスとDLJは、ひとつにまとまっておくべきだった。

松本:もちろん、実現していれば違いましたね、規模が。

鈴木:オンライン証券の規模が違って、全部ここに吸い込まれて、まったく今とは違う構造になっていたはずですよ。しかも、もっと大きく伸びただろうな。

松本:しかし、振り返ってみると神田錦町のころはいろいろありましたね。面白かったですね。

日本でインターネットをやるのは今でも大変

──2000年前後の熱かった当時と、今の起業ブームの違いをどう見ていますか。

鈴木:当時と今と変わってないくらい、日本でインターネットをやるのは大変です。

──簡単になっているようにも思いますけれども。

鈴木:何も変わっていませんね。まず、グローバル・スタンダードの取り合いをやっているわけだけど、日本の起業家は、技術を持っていない。そういう意味でインターネットがどういうものかっていう本質のところから遠いわけ。もともとインターネットには長い歴史があり、精神というものがある。

本にも書いたけれども、やっぱり日本にはその精神がない。例えばWikiLeaks(ウィキリークス)が出たら、悪いとかどうのと言うけれども、いい悪いじゃなくて、あれもインターネットなんです。そういうものとしてインターネットを捉える見方が必要ですね。

そういう本質を理解した上で、インターネットで何かをやるという話が日本にはない。やったのは僕らみたいな愚連隊エンジニアだけど、米国において現実にどこからお金が出たのかといえば、国防総省ですよ。そういう視点からインターネットを見る、という目が、アメリカはどこかに残っている。それが日本にはない。例えばセキュリティにしても、国防的視野というのがない。

松本:上に載っかっているアプリケーション・レイヤーのビジネスとか起業の環境は、大きく変わったと思いますけどね。下についての課題は全然変わってないかもしれないけれども、そのおかげで、その上ではすごく簡単に起業できるようになったというふうに思いますけどね。

鈴木:大ちゃんみたいに頭のいい人がね、もうちょっと下の技術の部分にくっついたところで、何かやってほしいというのがある。いつマネックスをやめるのかなと思っていたわけ。でも事業をやっちゃうと、やめないね。

松本:もう17年やっていますね。

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