日本でインターネットをやるのは今でも大変 鈴木幸一×松本大「神田錦町時代」を語る

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鈴木:僕はね、大ちゃんがマネックスを辞めて、次のことをやると思っていたわけ。でも、会社が大きくなって面白くなっちゃったよね、仕事が。

松本:というか、やることが多くて。名刺の裏面を見てください。グローバルにやっているんですよ。

鈴木幸一(すずき こういち)●インターネットイニシアティブ(IIJ)会長兼CEO。1946年神奈川県生まれ。早稲田大学文学部卒。72年日本能率協会入社。82年に退社して日本アプライドリサーチ研究所設立。ベンチャー企業の育成指導、産業・経済の調査・研究等を行う。92年12月インターネットイニシアティブ企画設立

鈴木:なるほど、グローバルにやっているね。

松本:グループ全体でみると世界に12カ所オフィスがあって。アメリカのほうが従業員、多いんですよ。7割ぐらいアメリカなんです。アメリカは社員の半分ぐらいエンジニアで、コスタリカにもエンジニアがいます。

そこで進めようとしているのが、グローバルな世界のマーケット情報がローカル語で取れて、かつその世界のマーケットの、どんな国の株でも、債券でも、投信で も売買できる、プラットホーム作りです。これがいったんできると、日本だけでビジネスをやる必要ないわけですよ。だって世界の金融商品が、リアルタイムで 売買できるように世界にアクセスしているので。そしたら、世界にそのシステムを売れるので。

鈴木:なかなか難しいよね、でもね。

松本:もちろん大変ですよ。

レギュレーションが変わらない日本

──インターネットインフラの話としては、2000年前後ぐらいには日米を結ぶグローバル・クロッシングの話も含めて、もう少し日本でもスポットライトが当たっていた記憶がありますが。

鈴木:当時もそうではないでしょう。やっていたのは、うちくらいのものです。アメリカにとっては、もともとインターネットはグローバルそのものだし、トラフィックが爆発する。そのためにインフラも変わるというのは、ごく当たり前なわけです。いずれ通信も放送も一緒になるに決まっている。でも日本はレギュレーションが変わらない。テレビ局もおかしなことをしている。

松本:変わってない。

鈴木:本当の根っこを変えようとしていない国でインターネットをやると、大ちゃんが言ったように、アプリケーション・レイヤーのビジネスしかない。それはそれで立派なんだけど。

──ただ、そのビジネスも、日本からは世界で1位っていうものはない。

松本:それはもう小さいですよ。街の蕎麦屋とか寿司屋みたいなもんですよ。これ、おいしいものをつくりましたので、ここにお客さん、来てくださいみたいな感じ。せいぜいチェーン店ですね。

(撮影:梅谷秀司)

※後編は紙の本を読まないと、人はバカになる

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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