松山ケンイチ「1年の半分は田舎生活」で得た学び 憧れの俳優は「木村拓哉」意外な松ケンの一面も

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――いまは都会と田舎の2拠点生活をされていますが、これがきっかけで家族との時間と仕事の両立を考えるようになったのでしょうか。

もう4年ほど経ちますがそれがきっかけです。俳優の仕事である役を演じると、自分がそれまでに知らない発見があって勉強になったりします。でも、それが僕の人生にどんな影響を与えるかといえば微々たるもの。それでもこの仕事をしながら、何かを掴もうと思っていつも現場に臨んでいます。

一方、田舎で生活していると、まわりにおもしろい人がたくさんいて勉強になるし、俳優の仕事だけではわからなかった社会が見えてくるんです。いまの僕は俳優の仕事以上に田舎での生活を通して学ぶことが数多くあります。すごく価値のある時間を過ごすことができています。

――その生活が松山さんを大きくして、それが俳優業にも還元されているのでしょうか。

そこで学んだことが、披露の場であるカメラの前でまた違った形で出てくるわけですから。役に僕なりの解釈を入れることができて、セリフやその言い方も含めて変えることができたりします。

それまでは、ただ役を一生懸命演じていたんです。それが俳優だと思っていました。でもいまの僕は、芸能界から片足をどこかにはみ出してしまっていて、畑仕事している田舎者が撮影現場に遊びに来たという感じ(笑)。だから、役になりきろうとか、なりきれるなんてまったく思っていないんです。

「なにをやっても松ケン」になりたい

――生き方も俳優観も変わったんですね。

僕のいちばん好きな俳優は木村拓哉さんです。世間からは「なにをやってもキムタク」って言われるじゃないですか。でも、僕は共演させていただいているからわかりますけど、実際は役ごとにまったく違う。ただ、役より本人のほうが強いんです。

あれがすごいんですよね。僕も役より自分のほうが強くなりたい。役に収まらない何かが自分にあってほしいんです。それができれば役じゃなくなるんです。

勝新太郎さん、三船敏郎さん、渥美清さんもみんなそうです。昨今だと柄本明さん。役名を覚えていなくても、作品のなかの柄本さんだけはしっかり印象に残っていて。あの存在感が、記号としてはっきり伝わってくる説得力を持っています。そうなれたら最強の俳優です。

――「なにをやっても松ケン」のポジションを目指していますか?

いるだけでいいってなったらいいですよね、楽できちゃいますよね(笑)。

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