菊間千乃さん「弁護士」転身後の約11年を振り返る 「弁護士の世界には思わぬ仕事が広がっていた」
一方で、アナウンサーの経験が生きる場面はたくさんあります。
ここ3年ほどは法改正の解説やコンプライアンス、ハラスメントなどをテーマに、企業向けのセミナーに登壇する機会が増えました。
それは、「元アナウンサーの菊間さんなら、難しいことを分かりやすく解説してくれるはず」という依頼者の期待があってのことだと思いますので、それに応えなくては、と思ってやっています。
以前のインタビューで私は「放送界と法曹界をつなぎたい」と話しました。
そんな二つの世界の掛け違いを解きほぐしていけたらいいですね」
少なくとも今の私は、法律と皆さんの間をつなぐ仕事ができています。
法律は私たちの生活のルールであり、誰もがある程度理解すべきものですが、「弁護士に聞くもの」と、特別なものだと思っている方もいます。
法律に対するハードルを下げ、自分たちに関わる身近なものとして関心を持っていただく。そして、時代に法律が合わなくなれば、自分たちで声を上げて変えることができるのだと、自分ごととして捉えていただく。
それができるのは、弁護士の法律的な知識とアナウンサー時代に培った伝える力の二つを持っているからこそ。
アナウンサーのキャリアがあったから、弁護士としてオンリーワンの生き方ができているなと思います。
次世代の女性たちへの道筋をつくりたい
2022年には、事務所の共同代表に就任しました。
以前はこう言っていましたが、当時は「一人前になる=自分で事務所を持つ」だと思っていたんです。だからこういう発言をしたのでしょうね。
今の事務所は、入所以来一度も「やってはいけません」と言われたことがないんです。やりたいと言ったことは全て「どんどんやりなさい」というボスの元で育てていただき、メンバーにも恵まれてきた。
だからこそ、若い人たちにもたくさんのチャンスを与えられる事務所を、ステキなメンバーと一緒に創っていきたいと思っています。