「日経報道」で内部を牽制する台湾政治家のしたたか 台湾軍がはらむ問題の解決を図れるか

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「9割」はあり得ないまでも、これまで繰り返された退役軍人らによる軍事機密の中国への漏洩が、アメリカの先端兵器提供を躊躇させていると推察されるのだ。

歴史的に見ても、中華民国がまだ中国で政権を担っていた頃から中国共産党側に情報を渡したり、寝返ったりした軍人はいる。そして、国共内戦で敗れて台湾に渡った後、とくに警戒していたのがこういった裏切り者だった。

時に当局はスパイのレッテルを貼って無実の人々を捕らえるなど、不必要なまでの取り締まりは今日の台湾社会に深い傷痕を残した。この時代の台湾では、「防諜」という言葉は街のそこかしこで聞かれるものだった。

現在の台湾は、民主化によってさまざまな考えを許容する社会になっている。政治をはじめとするさまざまな事柄を台湾本意で考える人々が多くいる一方、中国との関係こそが最も重要と考えるいわゆる親中派の人々も依然として存在する。中国はそういった人々を巧みに利用し、台湾内のさまざまな情報を入手。あわよくばアメリカに通じる軍事機密をも手に入れようとしているのだった。

台湾軍の機密漏洩事件

2010年以降の主な事件では、予備役司令部中佐の2人が現役軍人らに贈賄などの方法で諜報員の写真、年齢などの資料を入手し、中国に渡していたことがあった。

また、国防部参謀本部電訊発展室(通信傍受を主要任務とする情報機関)の退役中佐が中国に複数回渡航し、台湾の国防白書と空軍パイロットの写真を渡していた事件も発生した。

さらに過去最大級と言われた軍事機密漏洩事件では、中国側の元軍人が数年にわたって台湾の退役少将ら8人に接触し、台湾の主力戦闘機の1つであるミラージュ2000の軍事機密を探っていたという。

近年でも依然として類似の事件は発生しており、例えば前立法委員(国会議員)が中国側から親中派退役将校を紹介するよう依頼され、適当な人物を探っていたというのもある。

日経の「9割」という表現は明らかにおかしい。しかし相次ぐ事件の発生から、米中対立の最前線である台湾が、実は関係者が情報漏洩を憂慮する状況にあることがうかがえるのだ。

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