台湾が「双十国慶節」で明確にした国土防衛の意味 台湾国会議長が「台湾有事は日本有事」と言及
2022年10月19日、アメリカ海軍のマイケル・ギルデイ作戦部長はシンクタンクでの講演で、中国の台湾侵攻が予想されたものよりも早期に起こる可能性があると語った。これを受け、台湾の陳明通・国家安全局長は立法院(国会に相当)の外交・国防委員会で、2023年に起こるとされるものは戦争を利用して交渉を迫るような形ではないかとの考えを示した。
例えばさまざまな封鎖を行い、交渉の場に引きずり出すというものである。しかし、台湾自身としてはさまざまな状況に対応できる準備を進めているとし、人々が知るべき情報は必ず隠さず伝えると述べた。
ロシアによるウクライナ侵攻からもわかるとおり、1国の防衛力は、究極的には人々の団結力と覚悟によるところが大きい。しかし突然、自国民に国土防衛の必要性を訴えても、それが浸透するにはある程度の時間が必要だ。
中華民国建国111年を祝う国慶節
つねに中国からの圧力にさらされているとはいえ、とくに民主化以降、台湾社会における軍事的な緊張感は着実に薄れている。それは台湾の人々が自由や平和を享受していることの裏返しでもあるが、日を追うごとに高まる中国の軍事圧力に対し、厭戦やあきらめのムードが生まれつつあることと無関係ではない。
そのような中、2022年10月10日に台湾では中華民国の建国記念日に当たる双十国慶節の式典が開催された。建国から111年目にあたる今年は、社会の多様性や人々の団結をアピールする演出が多かった過去数年と比べ、国土防衛の覚悟と台湾が日米と同じ民主主義陣営にいることを内外に示す内容になった。
「中国と台湾海峡の平和と安定を模索する用意がある」と語った蔡英文総統の演説に多くが注目していたが、式典の準備委員会委員長を務めた游錫堃・立法院長(日本の国会議長に相当)の演説にこそ、現実の台湾が見えてくると考える。
游氏は演説で何を語ったのか。まず、游氏はどのような政治家なのか、そこから知る必要があるだろう。
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