震災で見直しを迫られる製油所の過剰設備削減
東北被災地や消費者の不安心理から品薄となった関東への供給量も増やすため、元売り各社は計画していた石油製品の輸出を緊急停止。昭和シェル石油は国内3製油所のフル操業と輸出取りやめにより、震災前の計画に比べて3月の国内供給量を15%増やせるメドがついた。昭和シェル、出光、エクソンは自社系列スタンドのみならず、他社への緊急的な製品融通供給も行っている。
また仙台製油所の機能が停止したJXは、18日から岩手県盛岡の油槽所へ燃料油の鉄道輸送を開始。横浜の根岸製油所で燃料油を積み込んだタンク貨車は、日本海側を青森まで北上し、そこから南下して盛岡の油槽所へ。平時なら横浜から盛岡までわざわざ貨車で燃料油を運ぶことはまずないが、「仙台製油所が動かせない今は緊急事態。効率をどうこう言っている余裕はない」(JX)。
設備削減に動いた矢先 3年後ならもっと混乱
宮城県石油商業組合によると、電話で営業が確認された県内のスタンド数は22日時点で101店。17日の約40店からは増えたものの、加盟する全スタンド560カ所(JA系などは除く)のまだ2割以下。しかも、一般住民に開放されているのはさらにその一部にすぎない。地震・津波による設備被害で営業が再開できないスタンドが150店以上あるとみられるが、在庫が払底して営業できない店のほうが多い。「19日あたりから確実に供給量は増え始めているが、それでもまだ必要な量にはぜんぜん足りない」(同組合)。現地で十分な燃料が行き渡るには、まだしばらく時間がかかりそうだ。