一方国内では、直列またはV型の6気筒エンジンの3ナンバー車は最上級車種の扱いで、直列4気筒はあらゆる車種に適用され、単に廉価なクルマとの扱いではない。直列4気筒でも、スポーティであったり上質であったりする車種があり、その乗り味とともに価格に対する価値が持たれている。そこにアメリカで廉価な実用車と扱われているキャバリエを持ち込むこと自体にむずかしさがあった。
キャバリエは、元気に走るクルマだった。しかし、エンジン騒音はそれなりに大きく、運転操作に対する走行感覚も荒々しい面があった。1989年に国内の自動車税制が改定になり、3ナンバー車への税額が排気量3.0リッター以下は軽減された。とはいえ、キャバリエ自体の質感で、3ナンバー車の税制や経費を自己負担するのは消費者にとってむずかしかった。
1世代で姿を消したトヨタのキャバリエ
日米という二国間の経済的均衡を保つことは、クルマにおいてはむずかしく、今日なお解決されずにいる課題のひとつといえるだろう。なぜなら、アメリカ人にとって小さなクルマは興味の対象ではなく、逆に日本では大きすぎるクルマは手に余るからだ。さらに上級車種ならまだしも、廉価な実用車で大きいクルマは一部の関心しか得にくい。
初代キャバリエは、日米欧で販売される車種の1つと考えられたが、欧州においても交通環境はアメリカとも日本とも異なるのであり、キャバリエは、しょせんグローバルカーは夢でしかないという一例ではないだろうか。
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