お金に困る人が知らない「人生の3大資金」の現実 人生100年時代をどう生きるべきか

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厚生年金への加入が年金額アップのカギに

老後に国から支給してもらえる年金について説明しましょう。働き方によって、加入している年金制度は異なります。また、納めた額によっても支給される額が変わります。

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月給で稼ぐ、会社で雇われている人や公務員の場合は、国民年金(受給時は老齢基礎年金)と厚生年金(受給時は老齢厚生年金)に加入しています。そのため、国民年金のみの非正規雇用や自営業の人、専業主婦(主夫)などに比べて、老後の年金受給額が多くなります。

国民年金にのみ加入している人の受給額は、満額(40年間支払った場合)でも、月額6万5141円(2020年度)、平均では5万5946円(2019年度)です。一方、厚生年金に加入していた人の受給額は、平均で月額14万4268円(男性16万4770円、女性10万3159円、2019年度)です。

派遣社員やアルバイトなどの非正規雇用の場合、収入自体が正規雇用の人より少なくなりがちですし、年金受給額も少なめです。しかし、「週の労働時間が20時間以上で2カ月を超えて働く見込み」などといった一定の要件を満たせば、非正規雇用でも厚生年金に加入します。公的年金だけでは老後の生活が不安な場合は、稼いだ分をしっかり貯金したり、将来のために毎月一定の金額を積み立てるiDeCoなどを利用したりするといいでしょう。

少子高齢化により公的年金制度は崩壊する、年金を納めた分よりももらえる額は少ないのではないかと考え、年金保険料を納付しない人がいます。しかし、納付しなければ、もらうこともできないので、よく考える必要があります。公的年金なしで老後を生きるには、働き続けてしっかり稼ぐか、多額の金融資産が必要です。

2022年現在では、国民年金や厚生年金は受給開始から10年ほどで、納めた分以上は支給される計算になっていますし、年金を65歳から受給し、平均寿命まで生きたとすると、納めた額の2倍以上はもらえることになっている、ということも、事実として知っておきたいところです。

池上 彰 ジャーナリスト

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いけがみ あきら / Akira Ikegami

1950年、長野県生まれ。1973年慶應義塾大学卒業後NHK入局。ロッキード事件、日航ジャンボ機墜落事故など取材経験を重ね、後にキャスターも担当。1994~2005年「週刊こどもニュース」でお父さん役を務めた。2005年より、フリージャーナリストとして多方面で活躍中。東京工業大学リベラルアーツセンター教授を経て、現在、東京工業大学特命教授。名城大学教授。2013年、第5回伊丹十三賞受賞。2016年、第64回菊池寛賞受賞(テレビ東京選挙特番チームと共同受賞)。著書に『伝える力』 (PHPビジネス新書)、『おとなの教養』(NHK出版新書)、『そうだったのか!現代史』(集英社文庫)、『世界を動かす巨人たち〈政治家編〉』(集英社新書)など。

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