「日本の学校教育」がオワコンと言える2つの理由 1学級40人なのは「従順な人間」を量産するため

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なにより、いまの学校は生徒に失敗をさせてくれません。会社も同じではないでしょうか。若い人にとって失敗は非常に貴重な経験です。人は失敗から多くを学びます。生徒が将来社会に出たとき、円滑な人間関係を築けるようになるためにも、あるいは、組織の運営や意思決定に携わる立場になったときに力を発揮できるようになるためにも、失敗は、本来、若いうちに経験しておくべきことなのです。

そもそも学校で身につけるべきなのは知識だけではありません。知識、スキル、マインドセットの3点セットです。学校、教育というと「なんとか力」とよばれるような知識やスキルが中心と思われがちですが、そうではありません。その証拠に、海外の大学の試験では知識を問うペーパーテストは減る傾向にあります。

日本の学校はいまだに、自己主張や主体性がなく従順で均質化した、平均的な能力をもつ人材を育てようとしています。つまり、知識やスキル、偏差値の重視です。しかし、世界はちがいます。世界が求めるのは、主体性があり、自由でクリティカルシンキングができ、多様性があり、それを受け入れられるオープンマインドをもつ人材です。世界の学校は、そのような人材を育てようとしています。マインドセットを重視しているのです。そしてなにより、世界の学校では生徒や学生に、「自分は何者か」に気づかせようとします。

もう一つ、日本の学校に欠けているのは、生徒や先生の主体性とそれを育むための対話、対話を可能とする生徒と先生の人としての対等な関係、他者に大きな迷惑をかけないという前提の上で、生徒が「学校でなら、何に挑戦しても大丈夫」と思える心理的安全性です。

日本と世界のいいとこ取りが最適解

求められるのは、知識やスキルとともに、自主性、主体性といったマインドセットも重視し、生徒が安心してさまざまなことに挑戦できる学校です。つまり、日本と世界の「いいとこ取り」をするのが最適解なのです。

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にもかかわらず、日本の学校は、日本の社会でしか生きていけない人材をつくろうとしています。いまだに多くの親たちは「東大に行ったら将来安泰」「あそこに就職したら大丈夫」といった時代錯誤の思考停止状態に陥ったままで、その価値観を子どもたちに押しつけようとしています。受験に何がどのくらい必要であるかも理解せず、子どもに受験勉強を強いる大人が大勢います。有名な大学に入れさえすればあとは大丈夫と思っていてはダメなのです。そんな〝常識〞は親からの呪い以外の何ものでもありません。

それが、私が「学校はオワコンだ」と声を張り上げている理由です。

日野田 直彦 千代田国際中学校校長

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ひのだ なおひこ / Naohiko Hinoda

1977年大阪府生まれ。幼少期をタイで過ごし、帰国後は欧米の最先端の教育に取り組む同志社国際でもまれる。同志社大学卒業後、進学塾、私立中高の新規立ち上げを経て、公立・私立の校長に。36歳で校長になった大阪府立箕面高校では、多数の生徒が海外大学に進学し注目を集める。武蔵野大学中学・高等学校では、9年で5人も校長が交代する倒産寸前の状態からV字回復させ、学校説明会には毎年多くの親子が参加している。現在は学校再建のロールモデルを構築すべく奮闘中。著書『なぜ「偏差値50の公立高校」が世界のトップ大学から注目されるようになったのか!?』(IBCパブリッシング)、『東大よりも世界に近い学校』(TAC出版)。

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