「Bing」AIが作成したビジネスメールが秀逸すぎる 処理を的確な方向に導くための「パン屑」とは
またプログラムコードは、それ自身が論理構造を記述したものであるため、別のプログラム言語への移植も得意だ。「そのプログラムをC#に変換してください」とすれば、きちんとC#に書き換えてくれる。
実はマイクロソフトは2021年5月に、GPT-3を用いたプログラムコード生成機能を、自社のPowerAppsという製品に組み込んでいる。この製品はローコード(最小限のプログラミングコード)でアプリ開発を行うツールだが、その”少ないコード”を話し言葉で書くことで生成させることができる。
Edgeに組み込まれた「要約」と「雛形作成」
そして2023年2月、マイクロソフトはOpenAIのGPTを独自に発展させたAIモデルを、検索エンジンのBingとウェブブラウザのEdgeに組み込んだ。
執筆時点ではBingのトップページで申し込んでおくと、順次、利用可能になった際に連絡が来るようになっている。筆者は発表直後に申し込んだため、かれこれ数週間は使い込んできた。ChatGPTのように簡単には体験できないが、ここまでに説明してきたAIの特徴を知っていれば「これは仕事に使える」と思える要素ばかりだと気づくだろう。
最初に試してほしいのは、マイクロソフトのウェブブラウザ「Edge」で使えるサイドバーからのBing検索機能だ。以前は単なる検索機能だったが、ここに「チャット検索」や「作成」といったAI活用機能が組み込まれている(現在は開発者向け版のみで提供中)。
Edgeサイドバーのチャット検索の特徴は、表示しているウェブページに対する処理を依頼できる点だ。
例えば単にMARCHについて検索すれば、最初の候補としては英語の”3月”、あるいは”行進”が優先して見つかる。しかし都内有名大学に関する記事を表示しているときに「表示しているページのMARCHとは何を意味しますか?」と尋ねると、表示中のニュースに関連したMARCHに絞り込んで結果を出し、さらに関連性が高いニュースへのリンクを表示した。
ニュースや解説のページを読んでる際に便利な使い方だが、チャット検索においてはさらに有益だ。というのも、AIが結論を探索する際に優先する選択肢が、表示しているページで制限され、AIが非論理的な答えを導き出す確率を下げるからだ。
さらに解説の要旨を知るのにも便利で「表示しているページを要約せよ」とすることで、長い記事の内容について端的に論旨を知ることもできる。要約が短すぎると感じる場合は「表示しているページを長めに要約せよ」と指示すればいい。
ウェブメールの画面などに関する意見を生成することも可能だ。例えば任意のメールを表示させたうえで、Bing検索バーの「作成」機能を用い「取引相手が謝罪のメールを送ってきたが、その必要はないと伝え、前向きに今の仕事を続けてほしいと伝えるメールを書いてほしい」と指示文を書き、カジュアルなトーンで中程度の長さのメールを書いてもらった。
先日のメール、ありがとうございました。
謝罪の言葉をいただきましたが、本当に気にしないでください。
私は〇〇さんの仕事ぶりを高く評価していますし、これからも一緒に頑張っていきたいと思っています。
コロナ禍で大変な時期ですが、体調に気をつけてくださいね。
また何かありましたら、お気軽にご連絡ください。
それでは、失礼します。
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この作成機能は、あくまでも「雛形」だ。内容について論理的な矛盾があるかどうか、相手に送っても問題がないかなどは自分自身でチェックする。それ故に雛形として便利に活用できる。
雛形の質が向上する方法
雛形作成の使いこなしは、あらかじめ論旨を指示文章の中に書いておくことだ。
「来週の月曜、取引先の担当者をランチに誘いたい。ただ、私は男性、相手は女性なので食事に誘う際には気軽に参加できるよう配慮をしたい。イタリアンが好みだと聞いているが、赤坂見附駅の近くで、気を使わず、またゆっくりと仕事の話を続けられる場所に誘いたい」と指示して、硬くなりすぎないようにカジュアルなトーンでメールを作ってもらった。
来週の月曜日に、ランチをご一緒しませんか? イタリアンがお好きだと伺っているので、赤坂見附駅の近くにあるお店を探してみました。こちらのサイトにいくつか候補がありますので、ご覧ください。
https://tabelog.com/tokyo/A1308/A130801/R4697/rstLst/italian/
どれも雰囲気が良くて、お値段も手頃です。ランチタイムは混み合うこともありますが、予約すれば大丈夫だと思います。気軽に食事を楽しみながら、仕事の話も続けられると思います。
ご都合がよろしければ、お返事ください。どのお店が良いか、また時間は何時が良いか教えてくださいね。私は特に予定はありませんので、〇〇さんに合わせます。
それでは、よろしくお願いします。
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