「人に任せる」ことがなりたい自分になる第一歩 「次世代コンシェルジュサービス」の可能性

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想定外の質問への対応。アルゴリズムだとわかりにくいけれど人間なら一瞬でわかる誤解や見当違い。提供する選択肢がユーザーの特性に合っているか……。人間とのやりとりと、今のAIとのやりとりでは、ユーザー・エクスペリエンスはまるで違います。

最新のAIの自然言語処理はあたかも人間と同じような文章を書くことができますが、意味はわかっていません。現状のAIレベルでは、機械であるがゆえに理解してくれないこともあり、ユーザーのストレスが高くなることもあります。私たちはAIの最先端で仕事をしていたからこそ、AIだけでは人間のニーズに対応できないと判断したのです。

自分1人でできることは限られている

Yohanaは家事を任せるサービスですが、任せることの大切さは、いろいろな領域に当てはまります。

何かがある程度のところまで達すると、自分だけでは到底達成できないことがどんどん増えていきます。そこで人の手を借りることを躊躇してはいけません。迷ったときは目的や使命(ミッション)と照らし合わせてみてください。人の助けを借りて達成できることは? 自分だけで達成できることは? しかも、がんばりすぎて壊れてしまうリスクも含めて自分だけで達成できることは何か? 明らかに人に助けてもらったほうがミッション達成に近づくなら、迷う必要はありません。

自分1人だけでは、達成できるミッションは限られています。仲間をつくり、人の力を借りながら進んでいったほうがはるかに効果的です。いざ声をかけてみたら、喜んで助けてくれる人も多いのです。ミッション達成の妨げになるようなことは、どんどん任せたほうがいいと思います。

松岡 陽子 パナソニック ホールディングス執行役員、Yohana(ヨハナ)CEO

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まつおか ようこ / Yoko Matsuoka

1971年東京都生まれ。1993年カリフォルニア大学バークレー校卒業後、マサチューセッツ工科大学に進み、1998年博士号取得(電気工学、コンピューター科学)。ハーバード大学博士研究員、カーネギーメロン大学助教授、ワシントン大学准教授を歴任。2007年「天才賞」と呼ばれるマッカーサー・フェローを受賞。賞金を元手に、身体面および学習面に課題を抱える子どもたちのためのヨーキーワークス財団設立。2009年共同創業者としてグーグルX立ち上げ。2010年ネストのCTO(技術担当副社長)。その後アップルのヘルスケア部門を経て、 2017年グーグル副社長。 2019年パナソニックに入社し、2020年Yohanaをファウンダー兼CEOとして設立。

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