出口治明、20代社員を叱ったら「愚か」と返された訳 仕事は若い世代にどんどん任せたほうがいい

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ライフネット生命が「60代をターゲットにした会社」なのであれば、僕のほうがいいアイデアが浮かんだでしょう。けれど、20代、30代に訴求するのであれば、20代、30代の社員に任せたほうがいい。なぜなら、世代ごとに「違う音符」を持っているからです。

任せる側の効用は、ダイバーシティ。では、任される側(部下)のメリットは、何でしょうか? 僕は主に3つあると考えています。

【仕事を任される側のメリット】
①存在価値が認められ、やる気が出る
②成長する(視野が広がる)
③責任感が身につく

①存在価値が認められ、やる気が出る

人間には、承認欲求(人に認められたいという感情)があります。人は、承認欲求が満たされると、やる気や楽しさを覚えて、元気になります。「仕事を任される」とは、言い換えると「上司から信頼されている、認められている、リスペクトされている」こと。だから、モチベーションが上がります。

部下の承認欲求を満たすには、「部下を肯定的に評価する」ことです。簡単にいえば、「ほめる」ようにします。仕事は「60点で合格」なのですから(『部下の仕事「60点」で納得せぬ上司が実はダメな訳』参照)、「できなかった40点」には目をつぶる。「どうして100点が取れないんだ!」と叱りすぎると、部下は萎縮し、やる気を失います。

「やあ元気?」と声をかけるのも、ほめることに1つ

人は、「ほめる」と「叱る」の割合が「3:1」でないと、ポジティブな気持ちを保てないと言われています。「ロサダの法則」といって、心理学者マルシャル・ロサダが提唱する理論です。

優良会社では「6:1」の割合で、超優良会社では「9:1」の割合で部下(任せた相手)をほめているそうです。

「不出来な社員はほめられない」という上司がいますが、その発言は、理解が浅い。「廊下で会ったときににっこり笑う」とか、「やあ元気?」と声をかけるのも、ほめることの1つだと思います。「ロサダの法則」の本質的な意味は、1人ひとりをリスペクトすること。肯定的なシグナルを送ることです。

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