このほかにも、全国で活躍するアコーディオン弾きや三味線奏者、義足のダンサー、盲目のシンガーソング・ライターなど、障害の有無に関係なく、 さまざまなアーティスト、エンターテイナーがそれぞれのパフォーマンスを披露した。舞台からはどの出演者も表現したくてたまらないという迫力を感じた。キャストが表現したいことを、表現方法を工夫しながら、しかもクオリティを高めて魅せている舞台に心を動かされた。
今回の主役「こびとーず」のメンバーは全員、俳優やダンサーとして、すでに舞台などで活躍している。その1人、モデルでもある後藤仁美さんは、生まれつき骨が形成されにくい軟骨無形成症という難病のため、身長が115センチと小柄だ。
後藤さんは街などを歩くとき、よく周囲からの視線を感じていたそうだが、両親は「みんなと違うところがあるけれどいいんだよ。かわいいよ」とポジティブに子育てをしてきた。後藤さんは「だから、ずっと、この小さい体を誇りに思って生きてきました」と話す。
障害も個性、華やかにオシャレに魅せたい
後藤さんは子どもの頃から歌ったり踊ったりすることが好きで、家族の前でよく披露していた。だが、芸能界に入ることはあきらめていたという。モデルとして活動するようになったきっかけは、2015年、Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO(通称「東京コレクション」)でファッションブランド「tenbo」(テンボ)から誘われ、ランウェーを歩いたことからだった。このときtenboは、ファッションショーで初めて障害のある人をモデルとして起用したことで話題になった。
後藤さんは、このときのことをこう振り返る。「これからも障害を個性として、華やかにオシャレに魅せたいと思いました」。
そんなこれまでの日々を、後藤さんは少しずつブログにつづっている。
学生時代、軟骨無形成症のことを調べても、親が子どもの病気の治療について書いているブログばかりで、楽しくなかった。当事者が書くブログも見つけられなかった。そこで、後藤さんは「私は人と違うことを楽しんで生きていることを発信して、同じ病気の人の希望になりたい」と書き始めた。
幼い頃から、「軟骨無形成症のスターになりたいと思っていました」と後藤さんは言う。希望は俳優として、主人公の同僚や同級生を演じること。「社会には、私のような低身長の人もいることを知ってもらいたいからです。だから、俳優やモデルを続けています」と話す。
「こびとーず」の最高齢77歳で、手品師のマメ山田さんは、蜷川幸雄演出や美輪明宏演出の舞台や映画にも出演したことのあるベテラン俳優でもある。「白雪姫と七人のこびと」で演じてみたかったので、今回の舞台で夢がかなった。
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