マメさんが手品を始めたのは、手品師の師匠に声をかけられたから。いろいろな仕事をしながら手品を教わった。
その身体的特性から「私と出会った人は、私を決して忘れてくれない」とマメさんは言うが、初対面の人には小さな名刺(5×2.5センチ)を出してあいさつするなどのユーモアもある。
マメさんは「先天的に障害があるため、 この体を利用して生きていくしかない」と言う。だが、マメさんは身長が低いだけなので障害分類に該当せず、障害者手帳を持てない。このため、障害者総合支援法による支援(医療費の助成、障害者雇用枠による合理的配慮、税金の控除など)は受けられないそうだ。
「制度や法律を変えてほしいと、切に思っています」とマメさんは要望する。
テレビには自主規制で出られない
また、マメさんは長年、芸能界で仕事をしてきたが、テレビには出られない。過去に国内外で、身体的な障害のある人を「見せ物」として舞台に上げたことが問題視されたからだ。近年でもテレビなどでは、障害のある人の出演や表現に対する自主規制(日本民間放送連盟放送基準等)をしている。
このため、出演映画のテレビ放送で、マメさんだけが真っ黒に塗り潰されたことがあった。そこに、人間の尊厳、つまり人権は考慮されていなかった。
「低身長の人がテレビに出られないというのは、誰が決めているのか。営業妨害です。見たくない人がいるというなら、チャンネルを変えてもらえばいい」と、マメさんは憤る。
これまでマメさんは社会の常識にとらわれず、考え方を変えながら生きてきた。だが、自身が変わるだけでは、人生を変えられない。「私が生きているうちに、健常者と障害者の境目がなくなればとは思っています」とマメさんは話す。
このテレビの自主規制は、今回の舞台にも支障が出ている。タイトルの「こびと」は放送自粛用語に該当するとされ、「こびとーず」と名付けられた。
まぜこぜ一座についても、初演から「見世物」と揶揄する人もいた。だが、座長の東さんは「そもそも、私たちは、みなさんに観てもらってなんぼの『見世者』です。でも、過去の見世物小屋とはまったく違う。『魅せ者』と思っています」と言い切る。
2017年の「まぜこぜ一座 月夜のからくりハウス」初演後、ロビーで観客から「障害とか、そんなもの、何も感じなかった」「人間ってすごいね。表現ってすごいね」と声をかけられ、東さんは手応えをつかみ、自信を持てたという。
東京2020オリンピックパラリンピックでも、公式文化プログラムとして開催された「東京2020NIPPONフェスティバル」で、東さんが総合構成・演出・衣装デザイン・キャスティング・総指揮を担当した映像作品「MAZEKOZE(まぜこぜ)アイランドツアー」が配信された(現在も動画配信サイト「Tokyo2020」チャンネルで視聴可能)。
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