「納得できる仕事がない」60歳キャリア迷子の苦悩 どの世代でもキャリアに悩む人が増えている訳

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本来「キャリア」とは、ワークキャリアだけでなく、ライフキャリアも含めた全体の幸せを追求するものです(写真:Luce /PIXTA)
「キャリア」という言葉はどこか「上昇志向」「出世主義」「勝ち組」といったイメージを持たれがちですが、「本来、”キャリア”とは、ワークキャリアだけでなく、ライフキャリアも含めた全体の幸せを追求するものです」と言うのはキャリアコンサルタントの小林さとるさんです。
ストレスを抱えた状態にある「キャリア迷子」のみなさんの気持ちが少しでも楽になり、前向きにキャリアを考えることができるようになるためのヒントをまとめた同氏の新著『キャリア迷子 自分らしく働けない人のための「生き方提案」』より一部を抜粋のうえ、「キャリア迷子」とはいったい何か、今どんな人がキャリアに悩んでいるのか具体例を上げながら解説します。

さまざまなタイプの「キャリア迷子」

人が「キャリア迷子」になってしまうとき、そこに至るまでには、その人の置かれている状況や人生観、価値観などを含め、さまざまな背景や経緯があります。

ここでは、いくつかのケースをご紹介します。

■社内で望ましくない部署異動や左遷を経験した人

日本では、ほとんどの人が企業などの組織に勤める、いわゆるビジネスパーソンとしてキャリアをスタートさせます。入社した当初は、たとえば「商品企画部で働きたい」とか、「〇〇歳までにこのポストに就きたい」といったような理想を多少なりとも思い描いている人が多いのではないでしょうか。

しかし、企業などでは、必ずしも自分の望みどおりのキャリアを築けるとは限りません。本人は頑張っていたとしても、なかなか希望どおりの昇格ができないこともあれば、希望の部署に入れないこともあります。場合によっては、これまでよりも低い地位や閑職に移される、つまり左遷や降格になることもあります。

このように、自分で望んだわけではない異動、配置転換など「会社の都合」だけで、キャリアパスが変更させられてしまうことは、本当によくあります。

このような処遇を受けたとき、多くの人は仕事に対するやりがいやモチベーションを失い、それが転職・退職のきっかけになることも少なくありません。また、人によっては自分自身を否定されたかのように感じ、精神的に大きなダメージを受けてしまうこともあります。

会社の人事というのは、基本的には、どのように人材を配置したら組織にとって最大の成果が出せるのかを考えて行われるものなので、そこに個人の希望が入る余地はなかなかないというのが現状です。仕事ができる人なら希望が通るかといえば、そうともいえません。

自分のキャリアを自分で選択できないという状況で、仕事に対し前向きな気持ちを保つのは容易なことではありません。やりがいを失い、迷子になってしまうのも無理はないことだと思います。

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