「空き家や空き地」がカギになる2030年の都市計画 変容する「都市の空間」を使った問題解決の方法

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都市計画と、社会の「夢と欲望」「問題」の増減(写真:Catsu/PIXTA)
メディアの公共性を担保するのは誰か、マーケットデザイン思考を「利他」的に援用できるか。1964年と2021年の東京オリンピックとパラリンピック、1970年と2025年の大阪万博をめぐる政治と当事者の歴史をどう読み解くか。都市空間をいかに「演出」していくのか。牧原出、安田洋祐、西田亮介、稲泉連、村井良太、饗庭伸の各氏による都市計画、経済学、社会学、メディア、政治学のジャンルを横断する野心的論考『「2030年日本」のストーリー 武器としての社会科学・歴史・イベント』がこのほど上梓された。
今回は同書の共著者の1人の饗庭伸氏が、2030年の日本の都市について都市計画の視点から考える。

未来都市の大半は現在の都市

2030年に日本の都市はどうなってしまうか、都市計画の視点から考えたい。

都市計画は「都市の空間を使って社会の問題を解決する政策の体系」である。

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そう書くと、政策の手段を「ハード・ソフト」と二分したときの、「ハード」を引き受けているので、この世の社会問題の解決の半分を担っているようにも見えてしまうが、そうではない。

例えば国会がうまく運営されていないときに、誰もが選挙や議会の仕組み=ソフトを変えようと考え、国会議事堂=ハードを建て替えようとは考えない。つまりハード=都市計画の役割はそれほど大きいものではない。

2030年の人たちが使っている都市の空間の総量をX、2023年のその量をY、XとYの差分をZとすると、XのうちにYが占める割合は高く、Zはたいした量ではない。日本の総世帯数のピークは2023年であると言われており、2030年の世帯数(5万3484世帯)は2020年の世帯数(5万4107世帯)よりも少ない(国立社会保障・人口問題研究所『日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)』(2019年推計))。

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