「いい夢をみたい人」が実践すべき"就眠の儀式" 起きているときの"ある行動"が夢に影響する

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夢とてんかんに関して、神経心理学者のマーク・ソームズは、前脳の辺縁系部位に限局した(限った)てんかんの部分発作はノンレム睡眠で起こりやすく、きわめて特徴的な夢、繰り返される悪夢をみると指摘しています。

スクールカウンセラーのQ先生が、てんかんの発作がある高校生の心理相談を受けたときのことですが、その生徒さんには小さい頃から不眠があって、あまり夢をみないがみるときはいつも気持ち悪い「げじげじ虫の夢」をみると言っていたそうです。これがその生徒さんにとって、病状の波を示す特徴的な夢なのかもしれません。

起きているときの思考や感情は、寝ているときに夢に出現する思考や感情に現れます。よって起きているときの自分と寝ているときの自分はリンクしているといえます。

夢をコントロールすることはできるのか

基本的には夢は意図的な処理ではないので筋書きはコントロールできません。夢の続きをみることも同様です。

まれに明晰夢では意図的、自覚的に夢をコントロールできます。脳内の夢の伝達経路については、ホブソンが次のような提唱をしています。

「レム睡眠中は、脳幹の“橋”から発生するPGO波が視床の外がい側膝(そくしつ)状体(視覚信号)を経由して後頭葉を刺激し、かつ内省的思考をする前頭前野は夜間に活動が弱くなるので、夢のおかしさには気づかない。前頭前野の論理的なチェックがないことが夢の独創性につながっている」

これはシナプス(情報伝達のための接触構造)を柔らかくし、新しい経路ができるためではないかと推測されています。例外は「明晰夢」で前頭前野のBOLD信号が強まること。つまり想像世界でも内省、自制、意思決定ができるのだと説明しています。

明晰夢をみるための実験として代表的なものを挙げておきます。 フランクフルト大学(ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ大学)で2014年におこなわれた実験では、明晰夢をみる人の脳波に覚醒時より活発な30~40Hzのガンマ波が見られることから、被験者の前頭葉にガンマ波を当ててみたところ、半数以上の被験者 が明晰夢をみたということです。

またノースウエスタン大学は2021年に、脳波の刺激をせず、明晰夢に導入し、夢をみながら外界のサインに応答したり簡単な計算問題に答えたりすることができたと発表しました。

NOVA PBS Officialによる実験映像も残っています。

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