日本を次々襲う「災害」に挑むテクノロジーの挑戦 最先端技術を駆使し、瞬時に対応できる環境へ

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スペクティでは現在、SNSや監視カメラから得られる画像、降雪や風といった気象のデータ、そして過去に発生した立ち往生の際の情報をAIで解析し、立ち往生のリスクをリアルタイムで算定するようなシステムの開発を地方自治体と共同で行っています。リスクの高まりに応じて、通行止めにしたり、別のルートに誘導するなどの対応をとることで、立ち往生の発生を事前に防ぐことができます。

AIを用いた、立ち往生などのリスク算定の図(画像:筆者提供)

また、「デジタルツイン」も開発と実装が進んでいるテクノロジーです。デジタルツインとは、サイバー空間にフィジカル空間の情報を完全に再現した”双子”を意味しますが、平たく言えば、現実空間をコンピュータ上に3Dで再構築するものです。IoTセンサーやカメラなどから取得した情報を使ってコンピュータに現実の写し鏡を作り出し、それに対して監視やシミュレーションを行い、得られた結果を現実世界にフィードバックすることで活用します。

デジタルツインの図(画像:筆者提供)

国土交通省の「Project PLATEAU」というプロジェクトでは、すでに3D都市モデルを公開しているほか、東京都も独自の「デジタルツイン実現プロジェクト」を立ち上げています。

災害には「事前対応」から「リアル対応」へ

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このほか、スタートアップ企業ではSymmetry Dimensions Inc.(東京都渋谷区)がデジタルツインの構築を手掛けています。例えばデジタルツイン上で水害が発生した場合のシミュレーションを行い、都市の中で脆弱な部分を見つけ出して対策を打ったり、実際に災害が発生した際に短期的な予測を行って、住民に避難指示を出すといった使い方が考えられます。

このように、防災・危機管理の世界を革新するテクノロジーが熟しはじめています。これまでの、事前にアクションを打っておく「事前対応」から、リアルタイムの状況を反映して動く「リアルタイム対応」へ。そしてデータをもとにシミュレーションを行って未来を予測し、対応を自動化する「データ駆動対応」へと進化をとげていくと考えています。

根来 諭 Spectee取締役COO・防災士・企業危機管理士

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ねごろ さとし / Satoshi Negoro

1998年ソニー株式会社入社。法務・知的財産部門、エンタテインメント・ロボットビジネスでの経営管理を経て、福島県、パリ、シンガポール、ドバイでセールス&マーケティングを担当。中近東アフリカ75カ国におけるレコーディングメディア&エナジービジネスの事業責任者を最後に2019年、AI防災ベンチャー企業Specteeに参画。郡山在住時の東日本大震災の被災経験、パリ在住時の同時多発テロ事件へのニアミス、政情不安定な国々でのビジネス経験を元に、企業の危機管理をテクノロジーでアップデートすることに全力を注いでいる。リスク対策.comにて「テクノロジーが変える防災・危機管理」連載中。

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