日本を次々襲う「災害」に挑むテクノロジーの挑戦 最先端技術を駆使し、瞬時に対応できる環境へ

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では想定する災害のレベルをさらに上げて、より巨大な防潮堤を作るのがよいのでしょうか。おそらく、海へのアクセスが制限されたり、景観を著しく損ねたりするなど、住民をはじめ多くの人々に負担を強いることになるでしょう。

一方のソフト対策についてはどうでしょうか。主な対策例を挙げると、「ハザードマップや避難ルールなど事前準備の充実・強化」と「適切な避難行動を促すための津波警報などの情報伝達体制の充実化」があります。

前者については、各自治体での努力でハザードマップの充実化やルールの制定が進んでいます。

ただしハザードマップはあくまでも、ある一定の条件のもとでのリスク想定です。前提条件と大きく異なる危機事象が発生した場合、実際には危険であっても、「ハザードマップでは安全とされていたから」と避難をせずに犠牲になってしまうケースもあります。

また、後者の避難行動の促進についてもまだまだ課題が多そうです。2022年1月15日、南太平洋トンガの火山で大規模噴火が発生し、当日深夜に日本の広い範囲に対して津波警報や注意報が発出されました。

しかし、読売新聞の調べでは、沿岸12市町村の避難指示対象者のうち、実際に避難したのはわずか4%にとどまりました。また、宮城県内の数字では、およそ8万8000人に避難指示が出されたものの、避難所に避難したのは最大でも1%未満の177人だったことがわかりました。

適切な避難の方法は今のままだと難しい

「自分は大丈夫だ」「たいしたことない」と心を正常に保とうする「正常性バイアス」や、周囲にいる人に合わせて行動しようとする「同調性バイアス」といった心理的障壁もあり、適切に人々を避難させることは現在のやりかたでは難しいといえるでしょう。

このように災害大国ともいえる日本。この冬にも大規模な立ち往生が発生し、サプライチェーンが寸断され、人命が危険にさらされました。これまでは対応が後手に回っていましたが、テクノロジーで対処する開発が進んでいます。

その背景にあるのが、テクノロジーの急速な進化です。「AI×5G×IoT」といった最先端のテクノロジーを組み合わせることで、「現実社会をデータ化し、それをリアルタイムに解析すること」ができます。

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