部下の仕事「60点」で納得せぬ上司が実はダメな訳 「自分1人で何でもできる」というのは勘違い

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②部下の仕事が「60点」では納得できない

「自分だったら80点以上の仕事ができるのに、部下に任せると、60点しか取れない。だったら自分でやったほうがいい」と考える人は、世の中に対する洞察が欠けています。

人間の能力や、時間や、資源が無限にあるのなら、100点を目指してもいいでしょう。ですが実際は、能力も、時間も、資源も有限です。

有限である以上、完璧な仕事などありえません。「60点取れていれば、合格」と割り切るべきです。「できている60点」ではなく、「できていない40点」ばかりを気にしているから、仕事を任せることができないのです。ただし、60点で満足していたら組織の向上は望めません。前述したようにまず全員の60点を確認したら、次はプラス5点、10点と上げていくことが重要なのは言うまでもありません。

③判断のスピードが遅い

一流のサッカー選手は、ボールが来た瞬間に(あるいは、ボールが来る前から)、ドリブルをするのか、シュートを打つのか、パスを出すのかを判断しています。ですが、そこで逡巡してしまうと、敵の選手に囲まれて、ボールを奪われてしまいます。

判断が遅れる原因の1つは、まわりの選手を信頼していないことでしょう。信頼していないから、まわりの選手に任せることができません。「パスを出す」という選択肢が後回しになって、「自分の力で局面を打開しよう」と考えてしまうのです。

部下を信頼していない上司は「部下に任せる」という選択肢が後回しになります。「自分でやったほうがいい仕事ができる」と考え、いったんは自分で抱えるのですが、そのうち「自分でやろうと思ったけれど、時間が足りなくて、できない」と焦り出す。慌てて部下に任せるものの、結果的には、時すでに遅し。「60点にも及ばない」状況に陥ってしまうのです。

一方、仕事ができる上司は「球離れ」がいい。 ボール(仕事)が自分の部署に来たら、「この仕事は、誰に任せようか」「あいつなら得意そうだ」とすぐに判断して、仕事を任せることができます。

ビジネスが市場に与える影響力を上げるためには、スピードを速くする必要があります。そのためにも、仕事は、できるだけ早く任せたほうが賢明なのです。

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