ジャニーズ主演「山里・若林の半生」の意外な見所 4月開始の「だが、情熱はある」は脚本家にも注目

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物語は、2人の幼少期からスタートしたものの、苦汁を舐めたのは2000年代のことだ。長谷川雅紀は、駆け出し時代に北海道で活動していたが2002年に上京。渡辺隆は、1999年にNSC東京校に入り、翌年に「ガスマスク」(2004年解散)を結成した。

それぞれコンビ解散、ピン芸人時代と不遇の時期を経て2010年代を迎えている。今振り返ると、彼らがブレークできなかったのは選択肢の少なさも一因としてあったのかもしれない。

ライブ配信はもちろん、スマートフォンもSNSも十分に普及していない2000年代は、ネタ番組や決勝戦が放送される賞レース、雑学を披露するトークバラエティーなどテレビで爪痕を残すよりほかなかったのだ。

また、単純にそれまで2000年代を描く作品が少なかったところに、今年に入ってバカリズム脚本のドラマ『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)が支持されているのも興味深い。

主人公である33歳の女性は、2000年代に思春期を迎える。若年層は大いに共感するだろうし、40~50代は「ゲームボーイアドバンス」や「ガラケー」といったアイテムを懐かしく感じるはずだ。TVerの再生回数も重視されるテレビ界において、今後2000年代がトレンドとなっていく可能性も十分ありうるだろう。

芸人のドラマにジャニーズ

キャストにおいても、昔と昨今とではだいぶ違う。かつてはコメディアンや芸人の半生を描くドラマの場合は、同業者や役者が主人公になるのが常だった。

1993年に放送された日本テレビ40周年記念スペシャルドラマ『ゴールデンボーイズ1960笑売人ブルース』では、小堺一機が若き日の萩本欽一役を演じた。また、『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)内で放送された「ダウンタウン物語」では、江守徹が松本人志役を、石立鉄男が浜田雅功役を務めている。

さらには、2002年に放送された『浅草キッドの「浅草キッド」』(スカイ・パーフェクTV!)では、浅草キッド・水道橋博士が駆け出し時代の北野武役に抜擢された。2015年からは『行列のできる法律相談所』(現:行列のできる相談所・日本テレビ系)のスタッフによる制作ドラマ『誰も知らない明石家さんま』が年1回ペースで放送され、菅田将暉、北村匠海らが明石家さんま役を務めている。

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