ジャニーズ主演「山里・若林の半生」の意外な見所 4月開始の「だが、情熱はある」は脚本家にも注目

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オードリー・若林と南海キャンディーズ・山里の若手時代には、どちらも“理想とする存在との乖離”という葛藤があったように思う。

若林は、著書『ナナメの夕暮れ』(文藝春秋)の中で、「周りの目を気にしないで自分を貫ける人に憧れてきた」と書いている。ノーギャラでショーパブの前説を担当し、ネタを披露する場数を増やすも手応えの得られない日々。それだけに身近にいるマイペースな相方・春日俊彰には、言葉にならない思いがあったに違いない。

山里も若林も多くの悩みを抱えていた

山里は、NSC在学中に「NHK上方漫才コンテスト」最優秀賞を受賞した同期のキングコング、笑い飯や千鳥といった笑いの猛者たちに揉まれた。南海キャンディーズを結成し、翌年にM-1準優勝に輝くも相方のしずちゃんだけが人気者になっていく。山里自身は妬みキャラでポジションを築いたが、その殻を破れない悩みもあったことだろう。

また、まだまだテレビは絶対的なもので、若手芸人たちが「天下を獲る」「冠番組を持つ」という野心に満ちあふれていた時代でもあったはずだ。『だが、情熱はある』はトレンドを取り入れながらも、そんなヒリヒリするようなドラマになることを期待している。

鈴木 旭 ライター/お笑い研究家

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Akira Suzuki

2001年から東京を拠点にエモーショナル・ハードコア/ポストロックバンドのギターとして3年半活動。脱退後、制作会社で放送作家、個人で芸人コンビとの合同コント制作、トークライブのサポート、ネットラジオの構成・編集などの経験を経てライターに転向。現在、『withnews』『文春オンライン』『現代ビジネス』『FRIDAYデジタル』といったウェブ媒体、『週刊プレイボーイ』(集英社)などの紙媒体で記事執筆中。著書に著名人6名のインタビュー、番組スタッフの声、独自の考察をまとめた『志村けん論』(朝日新聞出版)がある。

 

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