患者数100万~200万人「副鼻腔炎」はどんな病気か 「症状は?治療は?」病気に詳しい専門医が回答

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アレルギー性鼻炎のときに出てくる鼻水は鼻の入り口付近の下鼻甲介(かびこうかい)の粘膜が発生源で、前方に出てくるのが特徴で、副鼻腔炎とは異なることが多いです。副鼻腔炎の場合、後鼻漏をただの痰だと思い込んで、放置してしまっている人もいるので注意が必要です。

Q:どのように診断しますか?

A:副鼻腔炎の正確な診断には、副鼻腔に炎症の影があるかを画像で見ることのできるCT(コンピュータ断層撮影)検査が最も有用です。ただし、どこでもできるわけではなく、医療費もかさむため、一般的な検査としては推奨されていません。そこでその日のうちにわかる簡便な検査である、「経鼻内視鏡検査」を勧めています。

Q:どのような検査ですか?

A:鼻に内視鏡を入れ、鼻の奥の副鼻腔の出入り口を観察する検査です。内視鏡では鼻汁の色や性状、膿などが鮮明に映ります。多くの耳鼻咽喉科クリニックで行われている検査なので、おかしいな、と思われる場合はぜひ、この検査を申し出てください。

副鼻腔炎の治療について

Q:急性副鼻腔炎の治療はどのように行われますか?

A:発症直後で副鼻腔に強い炎症が起きている時期は、原因になっている細菌を死滅させる働きのあるペニシリン系の抗菌薬をよく用います。これでよくならない場合や、ある程度、時間が経過している場合には、マクロライド系抗菌薬の投与を行うこともあります。

Q:慢性副鼻腔炎の特徴である鼻茸(はなたけ)とは、どのようなものですか?

A:鼻の粘膜が炎症を起こすことによって放出された物質が、粘膜の腫れを促す細胞を活性化してできます。ぶよぶよしたやわらかい塊で、大きいものでは親指大のものも。

鼻の奥にできるので小さいうちは気づかないこともありますが、ある程度の大きさになると、鼻づまりの症状があらわれ、入り口からも見えるようになります。

Q:鼻茸ができていると慢性化していると考えてよいのでしょうか?

A:はい、その通りです。鼻茸は慢性的な炎症の結果できるものですので、鼻茸ができている場合は慢性副鼻腔炎であると考えてよいのです。また、鼻茸ができると副鼻腔の出入り口がふさがれるため、病気が治りにくくなる悪循環が生じます。鼻づまりもひどくなり、QOL(生活の質)も低下します。

一度できた鼻茸を薬で治すことは難しく、内視鏡を用いた手術で鼻茸を切除したり、副鼻腔内の腫れた病的な粘膜を除去する手術を行うことになります。

Q:手術は大がかりなものですか?

A:内視鏡による手術は鼻の穴の中から器具を挿入して行う治療で、顔に傷をつくることなく行うことができます。

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