認知症予防、実は「学校教育が重要」な脳科学的理由 教育年数と老年期の認知機能が密接に関連
アルツハイマー型認知症のリスク因子の1つに「教育年数が短いことがある」と指摘するのが放射線科医の渡邉啓太氏です。いったいどういうことなのか。新著『健康脳 脳MRIから見えてきた認知症予防』を上梓した渡辺医師が解説します。
喫煙や運動不足よりも「教育年数の短さ」にリスク
高等教育を中心に学校教育が人生にとって重要であるか否か、数学の虚数や国語の古典など日常生活において使用することのない知識を学ぶことに意義はあるのか、といったことはたびたび議論になっています。
一方で、学校教育全般として見た場合、学校教育を受けていた年数は老年期における認知機能やワーキングメモリと密接に関わり、教育年数が短いことはアルツハイマー型認知症のリスク因子であると考えられています。
教育年数は脳容積や脳萎縮の程度にも強く関わってくるため、MRIを用いて脳の研究を行う場合は、統計解析の際に年齢や性別と併せて、教育年数をグループ間で調整することが一般的となっています。
また、アルツハイマー型認知症のリスク因子に関するレビューでは、喫煙や運動不足、糖尿病よりも、教育年数が短いことが最も寄与危険割合が高かったことが報告されています。このレビュー論文では、アルツハイマー型認知症患者のうち19.1%が、教育年数が短いことによって発症したと統計学的に試算されています。
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