予約69万人待ち「悟空のきもち」新事業始めたワケ マイナス7℃で冷やす事で得られる「絶頂解凍」

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それにしても唯一無二のサービス「悟空のきもち」を成功させた同社が、それよりはインパクトにおいて落ちる「悟空SPA」を展開したのはどのような理由だったのだろうか。

実はそこには、コロナ禍のニューヨークにおける金田氏の体験が関係している。

「悟空のきもち」がニューヨークに進出したのは2019年。金田氏によると日本以上の反響を受け順調に進んでいたという。

「言葉のせいでそう思えるのかもしれませんが、海外の人はすごく感動してくれるんです。また日本と違い、感謝がチップとなって表れます。アメリカでの定価150ドルに加え税金、15〜20%のチップで、日本の定価の4〜5倍にはなっていたんじゃないでしょうか」(金田氏)

現地の人はどうしても習得できなかった

順風満帆、「これから」というときに起こったのがコロナ禍だ。その影響でニューヨーク店は閉店せざるを得なくなった。ロックダウンで客が来られなくなったというだけではない。もっとも大きな理由はセラピストの不足だった。

頭の筋肉は層が薄く、微妙な力加減が必要とされる。ゴールデンフィールドではヘッドマイスターという独自の資格を設けており、認定試験に合格したセラピストしか施術することができない。

その技術を、現地の人はどうしても習得できなかったのだそうだ。そのため日本企業の駐在員の妻などを中心にセラピストとして来てもらっていたが、コロナ禍で次々に帰国。結果、セラピストがいなくなってしまったのだ。

「つまり、ニューヨークでの大きな反省点は人材教育。日本に戻ってもう一度考え直し、グローバルに展開するには海外の人でも学べる技術が必要だという結論に至りました」(金田氏)

そこで考えたのが体へのセラピーだった。頭に比べ筋肉が厚いため、体力は使うもののそれほど繊細な手技を必要としない。ただ、マッサージやほぐしはほかにも似たサービスが多くある。独自性を出すには、と考えていたところ、あるスタッフが「雪の上を歩いた後に露天風呂に入るのが一番気持ちいい」とアイデアを出してくれたのだそうだ。

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