子ども:「これね、保育園で描いたんだよ。見て」
親:「これは、お日様だね。光がいっぱい差しているね。〇〇ちゃんは、晴れの日が大好きだもんね」
子ども:「違うよ。これお花だよ。雨がたくさん降ってるの」
子どもが持ってきた絵に対して、描いたものがなにかというのを、大人の目線で最初から決め込んで話を進めています。子どもには子どものストーリーがあり、話を聴くまで真相はわかりません。実際、話を聴いても真相はわからないかもしれません。ただ、子どもの世界を少しでも知るために、「この絵について教えてくれる?」と質問することから始めてみてください。
「今日ね、Aちゃんがおやすみだった」と子が言ったら?
子ども:「今日ね、Aちゃんがおやすみだった」
親:「Aちゃんがいないと、あなたも元気出ないよね。がっかりだったね」
子ども:「ううん。Bちゃんと砂場で遊んで楽しかった」
子どもの気持ちに思いをはせるために、想像力を働かせることは大切ですが、本当に子どもの言っていることを聴くためには、決めつけないことが求められます。子どもはあったことを単に事実として伝えていることが多く、そこにどんな感情が付随しているかは、子どもにしかわかりません。「Aちゃんおやすみだったんだ。どう感じたの?」と質問してみてください。
勝手にアドバイザーとは、子どものことを思って、つい「こうしたら?」「こう言ってみたら?」「私があなたならこうするな」などと、助言をしがちな人です。
求められていないのにアドバイスをする人には、本人は無意識でも、はっきりとした動機があります。
アドバイスをするのは、個人の権力意識を高める対人行動であること、権力を欲する人ほどアドバイスをする動機が高いということがわかっています[*7]。アドバイスに従ってくれる人がいることで、「相手の行動に影響を及ぼすパワーが自分にはある」という感覚を持つのです。また、相手が自分の意向の通り動くことで、自分のコントロール欲が満たされ、安心感が高まります。
決めつけリスナーと同じように、関係が近いほど、私たちは聞かれていないのに勝手にアドバイザーになる傾向にあります[*3]。「あなたのことはわかっているから、こうした方がよい」とか、「あなたのことが心配だから、こうしてほしい」という願望が動機です。
アドバイスをすることは、相手に自分の思い通りに動いてほしい願望が、相手を想っているからこその親切に見えます。しかしアドバイスをする側が上に立つことを示唆しているため、関係性が不釣り合いになる可能性があります。
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