"実家が第一"の姉がつかんだ、「最高の結婚」 大事なものを諦めずに、結婚にたどり着けるか

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「彼の会社には社宅もあるので、そこからときどき実家のメンテナンスに通おうと思っていたんです。でも、彼は『海が近いからすぐに釣りに行ける。ここに住むことに何か問題でも?』と。びっくりしました。こんな田舎だから通勤も大変だけど本当にいいのかな、と最初は心配でした」

妻の友人と釣りに出掛けるほど、地元になじむ夫

実際に2人で住み始めると、久美子さんの不安は消えた。徹さんは家から車で5分の海岸で夕食のおかずを嬉しそうに釣ってくる。久美子さんの地元の友人知人とも仲良くなり、週末は港から船に相乗りして沖合まで釣りに行くという。確かに、釣り好きならばこの上ない住環境だ。社宅の家賃に当てるべきお金で釣り三昧である。

ちなみに、徹さんの両親は長男である徹さんが家を出ることにはこだわりがない。2人が交際をしていたときから、「久美子さんはひとり暮らしだと危ない。あんたもあっちの家に住みなさい」と言ってくれていた。子離れがいい親は、子どもばかりではなく、その交際相手をも幸せにするのだ。

久美子さんは結婚した翌年に妊娠し、長男を出産した。仕事は辞め、現在は子育てに専念している。週末は徹さんも今年で2歳になる息子の世話をよくしてくれるようだ。

「外で働きたいとはもう思いませんが、たまには友だちと焼き鳥屋で飲みたいですね。こないだ初めて彼に息子を預けて、妹と2人で名古屋で半日過ごしました。妹も子どもたちを旦那さんに預けたそうです。子どもを気にせず、大人向きの素敵なお店に入って食べたいものをゆっくり食べられました。すごく楽しかった~。こんなことをできる日が来るなんて思いませんでした」

両親を早くに亡くすという大きな不幸はあったものの、明朗さと妹への愛情を失わなかった久美子さん。仕事と遊びは30代前半までに完全燃焼したと感じている。今は、新しい家族にすべてのエネルギーを注いであげたい。だからこそ、「たまの息抜き」で大いにリフレッシュできるのだろう。

再びにぎわいを取り戻した自宅を見て、天国の両親は何を思うだろうか。僕は久美子さんに「親孝行!」の一言を捧げたい。
 

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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