トヨタ「アルファード」9年目でも売れ続ける謎 モデル末期でも衰えない勢いと唯一無二の価値

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初代アルファード
ミニバンのフラッグシップを目指し、存在感のあるスタイルと国産ミニバン最大級の室内空間を両立。最上級ミニバンとして誕生した初代アルファード(写真:トヨタ自動車)

初代アルファードが誕生したのは2002年のことだ。1994年にホンダからオデッセイが発売され、国内市場でのミニバン人気が高まった。その勢いに乗って、ホンダはアメリカで販売していた現地仕様のUSオデッセイを1999年に「ラグレイト」の車名で国内販売し、オデッセイや「ステップワゴン」とともにミニバン市場を牽引した。

エスティマ
2019年に惜しまれつつ生産終了となったトヨタのエスティマ(写真:トヨタ自動車)

そうした動向に対し、トヨタは1990年に初代エスティマを発売してはいたが、これはそれまでのワンボックス車の延長としての改革であり、まだミニバンにはなっていない。2代目でエスティマがミニバンとなり、やっとオデッセイと競合するようになったのは2000年になってからのことだ。

ラグレイトの競合といえるアルファードが登場するのは2002年で、それまではワンボックス車に近い考えの後輪駆動をもとにした「グランビア」であった。オデッセイ登場から一気に国内市場の風向きが変化したのに対し、ミニバンに関してトヨタは遅れ気味の対応となっていたのである。

ミニバンではなく、高級サルーンという価値観

アルファードハイブリッド
2003年に追加されたアルファードハイブリッド(写真:トヨタ自動車)

しかし、2002年に初代アルファードが生まれると、翌年にはハイブリッド車を加えるなどして、上質で高級感ある大型ミニバンという独自の商品性を構築した。アルファードの前のグランビアも、静粛性に優れた上質さを覚えさせるところがあり、それは4ドアセダンの最上級車種である「セルシオ」を思わせるほどであった。高級車の概念をミニバンへ拡大したのがトヨタの戦略であったといえる。

2代目アルファード
2008年に発売した2代目アルファード(写真:トヨタ自動車)

2代目アルファードでは、後席の移動を大きくとれるようにし、後輪用の室内の出っ張りを避けるため、2列目の座席を一旦中央寄りに配置し、さらに3列目の座席近くまで後退させる仕組みを考案した。それによって、アメリカで重要人物が好むストレッチリムジンのような空間を、2列目の席で得られるようにしたのである。まさに高級ミニバンの誕生だ。

そこから現行の3代目へ向け、どのように進化させるのか。答えは、「高級ミニバンではなく、大空間高級サルーン」の概念であった。セルシオ(現在のレクサスLS)や国内の「クラウン」と自社内で競合するような新たな高級車の価値の提供である。

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