米国のリセッション(景気後退)懸念が拭えず、欧州経済も停滞する中で、中国経済活動の再開は世界の景気を後押しする歓迎すべき材料となる。
だが、リーマンショックによる落ち込みを受け、中国政府が4兆元(現在のレートで約77兆円)規模の大規模刺激策を打ち出し、世界経済が回復した2009年とは異なり、米連邦準備制度など中央銀行がインフレ抑制を急いでいるタイミングで、物価の押し上げ方向にも働きそうな気掛かりな一面もある。
国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は今月、中国の「ゼロコロナ」政策の急転換が恐らく今年の世界経済の成長にとって最も重要な要因だとの認識を示す一方、インフレに対する意味合いについても警鐘を鳴らした。
ゲオルギエワ氏は世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)で、「中国経済の成長加速という良いニュースが石油やガス価格の大幅上昇につながり、インフレ圧力を高めるとしたらどうするか」と問い掛けた。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)は中国の23年の国内総生産(GDP)成長率を5.8%と、22年の3%から持ち直すと見込んでいる。中国の経済成長とエネルギー価格、世界のインフレ率との関係性をモデル化したところ、23年10-12月(第4四半期)の消費者物価は1ポイント近くも押し上げられる可能性がある。中国の経済成長率が6.7%へとさらに加速するなら、これが約2ポイントに達する。
中国経済活動が急回復、1月のPMI示す-ゼロコロナ解除効果大