「婚活で理想の相手が見つかる」意外な技術の正体 アルゴリズムを利用した「AI婚活」の実態は

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しかし、まだまだサービスは始まったばかりで、利用者は非常に少ないのが現実です。現在婚活中である男女に対して行った「AI婚活を利用したことはありますか?」(図B参照)のアンケートでは、男性26%、女性6%がはいと答えています。男女いずれも利用者は少数ですが、特に女性側の伸び代が大きく、今後の浸透が期待されます。

ただどうしても、性格分析的な要素が大きいため、登録者に対する質問内容が多く、実際に紹介となるまでに手間と時間がかかる傾向は否めません。そのため、気の短い方には不向きかもしれません。そのあたりも改善点だといえるでしょう。

2021年度から、政府はAIを使った婚活支援への補助を拡充しており、補助割合をこれまでの「2分の1」から「3分の2」に引き上げています。

AIの推薦でどれほどカップルが誕生?

すでに2016年度から本格的にAI婚活を先取りして導入している「えひめ婚活支援センター」(愛媛県)では、過去のお見合い希望の結果をAIが分析し、お互いにお見合い希望は出していないけれど、カップリングが成立する可能性が高い組み合わせが導き出されたら、紹介することにしています。その結果、お見合いに至った割合は、それまでの13%から33%に上がったというデータも出ています。

また、埼玉県でも2018年に1500万円を投入して、AI婚活を行っています。婚活支援サービス・パートナーエージェントを運営するタメニーと提携し、「自分には人並み以上の知力がある」「仲間とはいっしょに楽しい時間を過ごす」などの価値観に関する112の質問に答えると、希望に近い人をAIが導き出して紹介してくれるシステムです。

つまり、価値観の一致度を重視したカップリングをAIが提供してくれるというわけです。埼玉県少子政策課の発表では、2019年度に成婚した38組のうち、過半数の21組が、AIの推薦によるカップルだったという報告も出ています。

他にも、結婚相談所ムスベルでは、東大の大学院性も研究員に含むメディンプル社とともに、「AIリコメンド機能」を2021年9月より新たに導入しています。これは、マッチングする可能性が高い相手をAIが自動で選び出す機能で、単なる条件検索によるマッチングではなく、ムスベルに蓄えられている膨大なデータをもとに、AIが多面的に分析したもの。この分析結果により、一見すると合わないのでは? と思えるような人同士をつなげられ、人では導き出すことが難しかった相手と出会えるようになったということです。

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