人の顔色をうかがう「考え方の悪いクセ」の正体 脳は生来、自己を否定するよう設定されている

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職場で感じるさまざまな「不安」の正体と、対処法をお伝えします(写真:Ushico/PIXTA)
「明日会社へ行くのが嫌だ」「このSNSは『いいね』がどれだけつくだろうか」「老後は安泰だろうか」……こうした小さな悩みや不安は誰しもが抱えるものです。コロナ禍や、ロシアのウクライナ侵攻などにより、不安や悩みは強まっていると内科医で心身医学専門医の岩田千佳さんは言います。
日常生活の中で生じる小さなマイナス感情が大きな不安につながり、それがストレスとなり、いつのまにか健康に支障をきたす可能性は大いにあります。目に見えない、正体がはっきりしないものに対して人は不安を感じるのです。
この漠然とした不安をあえて岩田さんは「不安ちゃん」と呼んでいます。キャラクター化すると、不安をユーモラスに感じ、さらに根本からの対処法を知れば、むしろゲーム感覚で人生を楽しめるようになります。
不安ちゃんの正体』を上梓した岩田さんが本書抜粋しながら、不安の対処法を皆様にお伝えします。(3回にわたって紹介。今回は1回目)

職場の会議で、自分の思ったことが言えない。そして、誰かの意見にみんなが賛成すると、自分もそれに同調する意見を言ってしまい、頭の中でモヤモヤする。

こうしたストレスを抱える方はたくさんいます。あなたには、会議の席で自分の意に反する意見を口にした経験はないでしょうか。

自分の意見より周囲の期待に応えたい

もともと日本人は、自分の意見を言うことが苦手です。それは、日本人がこれまでに培ってきた文化に関係があります。西洋の文化が「人は、1人ひとりが独立した存在である」と考えるのに対し、日本の文化は「人は、人との関わり合いの中で存在する」と考えます。つまり、関係性を重んじる文化をずっと育ててきたのです。

そのため日本人は、無意識のうちにその場の空気感に合わせた発言をするトレーニングを積み続け、その方法で物事が円滑に進んできたことから、「場の空気を読むことが正解」と脳にインプットされているわけです。だからこそ、「出る杭は打たれる。人より出る杭になりたくない」という気持ちが働いて、人に同調する態度を示したくなってしまいます。

そして、自分の気持ちを我慢しているため、知らず知らずのうちに我慢がどんどん蓄積していくのです。また、自分の意見を主張せず、他人の意見に合わせてしまう背景には、自分の能力に対する不信、不安があります。

「自分の考えが周囲に認められるはずがない」と、不安ちゃんがささやくのです。

「こんなことを言ったら、変な人だと思われる」「自分の一言で場がしらけてしまうだろう」「バカにされる、笑われる」

不安ちゃんには、自分が他人からどう見られるのかに過剰に意識が向いてしまう傾向があります。しかも、自分の評価のハードルをどんどん自分で上げ、「そのレベルに達していない」と自分で自分にダメ出しをしているのです。

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