「敗者のGYAO!と勝者のU-NEXT」明暗分けた拠所 実は同じルーツ、時代に踊らされたサービスの歴史
「兄弟」がサービス終了の憂き目にあうなか、USEN-NEXT HOLDINGSのコンテンツ配信事業は堅調だ。2023年8月期の第1四半期決算(1月12日発表)では、前年同期比の売上高が11%増となった。営業利益率は8%減だが、「為替影響によるコンテンツ調達原価の増加等により微減益」と説明。
前四半期比では、売上高が3%増、営業利益率が38%増で、「ユーザー増による売上増に加え、利益率がやや改善したことで増益」としている。課金ユーザー数は第1四半期時点で283.7万人(前年同期比14%増、前四半期比3%増)だ。
「通信と放送の融合」への期待が高まっていた
筆者はGYAO!が、時代に踊らされた存在だと考えているが、そこには公式配信とユーザー投稿の関係性に加えて、補助線をもう1本引く必要があるだろう。いわゆる「ライブドア事件」だ。ライブドアによるニッポン放送(フジテレビ)買収騒動が、資本業務提携での和解に着地したのは、GyaOスタートと同じ2005年4月だった。
しかし、2006年1月に当時のトップが逮捕されると、状況が一変する。3月にフジテレビが保有するライブドアの全株を、宇野氏が取得すると発表。USENとの業務提携も行われ、GyaOとライブドアの相互送客がスタートした。なお宇野氏は翌年8月、「新経営陣・新体制を安定株主としてサポートする目的・役割を終えた」としてライブドア株を手放している。
その後ライブドアは、韓国NHNの日本子会社NHN Japanなどと経営統合し、大ヒットしたコミュニケーションアプリと同名の「LINE」社へと移り変わり、ヤフー(ZHD)と経営統合されている(なおライブドア事業は2022年12月、ミンカブ・ジ・インフォノイドに譲渡されている)。
ニッポン放送買収やGyaO誕生に前後して、日本国内では「通信と放送の融合」への期待が高まっていた。産官学それぞれに動きがあったが、NHKプラスや、民放テレビ局によるTVer(ティーバー)、テレビ朝日とサイバーエージェントのABEMA(アベマ)などが一般的になるのは、それから十数年の月日を要した。
「時代を先取りしすぎた」というのは簡単だが、礎があってこそ、いまがある。次世代に向けたレガシーとして、GYAO!に思いをはせてみるのも、また一興ではないだろうか。
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