そこで、ドコモは自社株買いを行って、ROEを高めようとしているのではないかと推測されます。
以上のことをふまえて、安全性を見てみましょう。先ほども述べたように貸借対照表(15~16ページ)から自己資本比率を計算すると、76.1%という抜群の数字です。流動比率も210.9%ありますから、全く問題ありません。
国内マーケットはすでに飽和状態、次の一手は?
ソフトバンクとドコモの決算内容を見てきましたが、それぞれ要因は異なるにせよ、収益が伸びにくくなっていることは間違いありません。国内の携帯電話市場は、すでに契約台数が1億3000万台を超え(2014年3月時点)、飽和状態になっているからです。
そこで、2社ともに果敢に海外市場を開拓しようとしています。先ほども触れましたが、ソフトバンクはスプリントを買収して米国に進出していますし、ドコモも米国や英国、アジアなどの事業に積極的に投資をしています。
しかし、その道は生やさしいものではありません。ソフトバンクはスプリントの運営に苦慮していますし、ドコモは昨年4月にインドの携帯電話事業から撤退しました。
インドは今、経済が急成長している上、人口も12億人いますから、世界的に注目されている市場です。同国の携帯電話市場も急速に拡大しており、加入者総数は3億人、月々300万人規模で契約者数が増加しているとのことです。
ところが、インドの加入者は低価格志向が強く、高い端末が売れない上、通話料の激しい値下げ競争が繰り広げられています。市場自体は拡大していても、利益率が非常に低いため、ある意味、「厳しい市場」なのです。
このように、国内市場が飽和だから海外に活路を見出そうとしても、一筋縄ではいかないのが実状です。
これからは海外展開を進めつつも、国内での売り上げを伸ばすために、通話ビジネス以外の新たなサービスを打ち出していく方向も強化していくのではないかと思います。
例えば、今、携帯電話で雑誌の読み放題などのサービスが展開されていますが、今後はそういったコンテンツを売るビジネスなどにも注力する可能性があります。コンテンツの制作会社や、それを集められる会社を買収することも考えられますね。
それらの戦略によって、各社、実際に収益をかさ上げることができるのか。この点に注目です。
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