ジャック・マーが「嘘はつかない」と断言する理由 2001~2006年、成功を勝ち取っていく際の生声

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ジャック・マー氏
中国が生んだITの寵児、ジャック・マー氏(写真:Marlene-Awaad/Bloomberg)
中国を代表するIT企業・アリババグループを築いたジャック・マー。成功の絶頂にありながら引退を発表し、姿を消した男の素顔は、日本ではあまり語られてこなかった。優秀とは言えない青年期を過ごし、英語の教師からキャリアをスタートさせ、中国最大の成功者の一人となったマー。そんなジャック・マーが取材や株主への手紙などで自ら語った言葉を集めた『ジャック・マーの生声』より、創業期のアリババを軌道に乗せ、当時世界を席巻していたECサイト、eBayとの対決に勝利するまでの言葉を一部抜粋・再構成してお届けする。

原則はただ1つ、本当のことを言う

<2001~2003 《不屈》
ホラ吹きと呼ばれ、数々の失敗を繰り返しながら、のちに中国経済を牽引するプラットフォーム淘宝(タオバオ)やアリペイ(支付宝)を立ち上げるまで>

アリババにはとてもよいPR担当チームがいる。とても優秀だ。私たちの原則はただ1つ、本当のことを言うことだ。どこでも、いつでも、自分の考えていることを正直に言う。メディアの喜びそうなことを言ったり、彼らの気に入るように嘘を言ったりしてはいけない。
いま嘘を1つ言えば、自分の言った嘘を全部覚えていられなくなる時まで、ずっとその嘘を本当に見せかけなければいけなくなる。それはとても苦しいことだ。
人々は正直を愛する。だが、いつでも本当のことだけ言う人は少ない。そうしているだけで、ほかの人々と差をつけられる。
――2001年7月 Chinabyte(中国のインターネット・メディア)

 

インターネット関連企業は目まぐるしく動き続けるものだ。もし失敗したなら、それは頭がフリーズしてちゃんと働いていないせいだったかもしれないし、頭がかっかしてわけが分からなくなっているせいだったかもしれないが、どっちにしても、失敗は失敗を恐れる心から生じたものだ。
明日は成長し、向上するために、今日は間違いをする必要がある。だが、同じ間違いを何度もしてはいけない!
――2001年9月10日 アリババ創立2周年祝賀式典

 

私たちにとって、インターネットは道具(ツール)なのです。
(中略)親類や友人の間のうわさ話や、雑誌、新聞など既存のメディアを使った宣伝よりも、インターネットはずっとずっとパワーのあるものになるでしょう。
このチャンスを逃したら、あなた方は幸運を逃します。新しい、生まれたばかりのツールを見下すのは間違っています。このツールをうまく使いこなせば、あなたの会社はもっとうまくいきます。うまく使えなければ、あるいは全然使わなかったら、あとで苦しむことになるでしょう。
――2001年11月19日 温州 アリババ会員企業大会

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