ジャック・マーが米中対立を憂い、語っていた言葉 2012~2018年、富豪となり引退を決意する頃の生声

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ジャック・マー氏
ジャック・マーが時折強調してきた「信じる」に込めた思いも深そうです(写真:Tomohiro-Ohsumi/Bloomberg)
中国を代表するIT企業・アリババグループを築いたジャック・マー。成功の絶頂にありながら引退を発表し、姿を消した男の素顔は、日本ではあまり語られてこなかった。優秀とは言えない青年期を過ごし、英語の教師からキャリアをスタートさせ、中国最大の成功者の一人となったマー。そんなジャック・マーが取材や株主への手紙などで自ら語った言葉を集めた『ジャック・マーの生声』より、世界の富豪の仲間入りをし、地球規模の課題解決のために動きながら、アリババグループ引退を決意するまでの言葉を一部抜粋・再構成してお届けする。

大切なのはお金ではない、夢なのです

<2012~2015《使命》
アリババグループはニューヨーク株式市場に史上最大の規模で上場。世界の富豪の仲間入りをしたマーは、地球規模の気候変動や雇用創出のために動き始める。>

政府からは1銭ももらったことがない。中国の銀行からも、1銭も借りたことがない。だから、私たちは完全に独立しているのです。
――2014年9月28日 番組「60ミニッツ」


私はテクノロジーは得意ではありません。
私は高校の教師になるための教育を受けた人間です。考えてみれば、おかしな話です。私は中国最大の、もしかしたら世界最大のeコマース企業の1つを経営しています。それなのに、コンピュータのことは何も知らないんですから。コンピュータで私ができることは、メールの送受信と、それにブラウジングすることだけです。
――2014年 アジア協会 アジア・ゲーム・チェンジャー賞授賞式


私は12歳の時に独学で英語の勉強を始めました。
どういう理由だったか、自分でも分かりません。ただ、英語という言語に惚れこんでしまったのです。毎朝5時、自転車を40分こいで、杭州大酒店というホテルに向かいました。外国人の観光客を見つけて、英語を教えてもらうためです。杭州の街を案内してあげて、英語を教えてもらいました。
――2014年 アジア協会 アジア・ゲーム・チェンジャー賞授賞式


教師というものは、常に未来を信じています。知識が人々の人生を変えると信じています。自分の生徒たちはきっと自分よりよい人間になると信じ、希望を持っています。教師にとって、生徒こそが最高の賞です。
現在の私の職業は教師ではなく、CEOですが、自分の学校の「チーフ・エデュケーション・オフィサー」だと思っています。
――2014年 アジア協会 アジア・ゲーム・チェンジャー賞授賞式


中国が9%の経済成長を維持していったとすれば、それは何かが間違っている。私たちはもう、青空を見ることはないだろう。品質の高さは実現されないだろう。中国は経済の質に注意を払わなければならない。
――2015年1月23日 世界経済フォーラム


大切なのはお金ではない、夢なのです。
世界を変えるのはテクノロジーだけではない。世界を変えるはずだとあなたが信じる、その夢こそが、世界を変えるのです。
――2015年6月9日 ニューヨーク経済クラブ

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