福井/鳥取/宮崎「新開通の高速」西日本は3区間 革命的とは言えずも地域に根ざす重要な新開通

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3つめの区間は九州南部、宮崎県を走る東九州自動車道の「清武南(きよたけみなみ)IC~日南北郷(にちなんきたごう)IC」間である。

東九州道は、北九州市の北九州ジャンクションから国道10号線やJR日豊本線に沿うように九州東岸を貫く高速道で、宮崎道を介して鹿児島方面にもつながる路線だ。

宮崎市付近までがすでに開通しているため、地図を見ると一見、整備が終了したように見えるが、実際には宮崎市からさらに南下、日南市、串間市、志布志市、鹿屋市などを経由して加治木ジャンクションで再び九州道と合流し鹿児島市まで結ぶ計画となっている。鹿児島県内は、すでに加治木~志布志で供用が始まっているが、全線開通には至っていないのだ。

宮崎市以南は大隅半島の方にぐっと迂回するように走り、高速道路としてはかなりクネクネとした印象で、興味深いルートとなっている。

大野川をまたぐ東九州道(写真:marumaru / PIXTA)

実際、宮崎市以南は付与された高速道路のナンバリングも、宮崎市以北の「E10」ではなく、「E78」と支線のような扱いになっている。

開通区間は17.8kmで、今年開通予定の区間では比較的長く、宮崎市から日南市方面への所要時間がかなり短縮されそうだ。

宮崎市から日南市方面へ行くには、青島、堀切峠、鵜戸神宮……と、いわゆる日南海岸の観光名所を結ぶ国道220号線を走行するのが一般的だが、日南北郷から先、日南市の中心部に近い「日南東郷IC」まで、すでに開通しているルートを使えば、海を見ずに日南市まで短絡できる。

「短くても重要な区間」ばかり

以上が、2023年に開通が予定されている西日本の自動車道である。東日本編でも紹介したスマートインターチェンジ(SIC)は、「松山自動車道東温SIC(愛媛県東温市)」の開設が予定されているが、それが2023年内なのか年を越すのかはまだ発表されていない。

東日本編と西日本編を通じての総括としては、「地域の交通事情を一変させるほどの長距離の開通はないが、地域の将来にとって重要な開通が見込まれる1年である」と言えるだろう。高速道路ファンとしては、どの区間も開通が楽しみである。
 

佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、高崎経済大学特任教授、京都光華女子大学教授を歴任し、現職。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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