このルート、国道部分は不通区間で、代わりに林道が結んでいるが、狭小で急勾配・急カーブが連続する“酷道”である。冬季の通行も不可能だ。
冠山峠道路が開通すれば、両県をまたぐ移動時間の短縮効果は非常に大きく、隣り合っていながら山を隔てて交流の少なかった越美(越前と美濃)の交流向上にもつながるだろう。
冠山峠の南側を走る国道417号線は巨大なダム湖の湖岸を走るが、この湖は徳山ダムの完成によってできた徳山湖である。ダムにより、1つの村全体が水没した“ダムに沈んだ村”として知られる旧徳山村は、今も徳山湖の下に眠っている。
鳥取と兵庫北部を結ぶ自動車道
2つめは、鳥取県と京都府の北部を結ぶ山陰近畿自動車道だ。開通するのは、鳥取県の東部に位置する岩美町内の3.8kmで、3月12日に開通することが先ごろ発表された。
京都市から鳥取市や松江市など、山陰地方を通って山口県の下関市に至るJR山陰本線。おおむねこの路線に沿って建設が進むのが、京都縦貫自動車道、山陰近畿自動車道、山陰自動車道の3本の自動車専用道路だ。
中国地方を東西に結ぶ中国道と山陽道が早々と全通したのに比べ、日本海岸の国土軸を担う山陰の高速道路の建設は細切れに進められたため、現在も開通区間はまだら模様となっている。
今回、開通するのは、すでに開通している鳥取市の東部と、鳥取・兵庫県境部分の間の未開通区間、具体的には「浦富(うらどめ)IC~東浜IC」間だ。これにより、鳥取市と兵庫県の間が自動車道で直結することになる。
鳥取と兵庫は、中国地方と近畿地方でまったく別の文化圏のように見えるが、鳥取県東部の因幡地方と、兵庫県北部の但馬(たじま)地方は、方言に共通点があるほか、麒麟獅子舞(きりんじしまい)という独特の郷土芸能が定着している点でも共通している。
また、兵庫側は浜坂や香住、鳥取側は網代、賀露と松葉ガニの水揚げで有名な港が目白押しで、冬の味覚の王者を楽しめるという点も似ているのだ。開通区間は短いが、直結への期待を高めるという点で重要な節目である。
また、従来の国道178号線は海沿いの景色はよくても津波・高潮・豪雪などの自然災害には決して強いとは言えず、今回の開通区間は、地元の人にも長距離トラックのドライバーなどにも朗報であろう。
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