チャンスを掴む人が実践する「たった1つのコツ」 茂木健一郎氏と考える、セルフコントロール力

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どういうことかといえば、たとえば、何かの誘惑に負けて今日はどうも仕事をやる気が起きないというとき、サボろうとする自分に対して「いや、ちゃんと仕事をしなきゃ」ともう1人の自分に注意させます。1人では足りないなら2人目、3人目と「複数の自分」をつくり、とにかく「やりたくない自分」に発破をかけるのです。

こうしたセルフコントロールの方法は、衝動的な感情の抑制にも役立ちます。それこそ、社会的に成功していて、性格もとてもおだやか、と言われているような人が、もともとは怒りっぽい性格だったということがありますよね。

これを脳科学的に分析すると、脳には思考や理性をコントロールする脳の司令塔と呼ばれる前頭葉という部位と、情動反応の処理をする扁桃体という部位があります。僕たちが感情を露わにするときは、つねに前頭葉と扁桃体がせめぎ合っています。

茂木健一郎さん(写真:日本実業出版社提供)

「本当に頭のいい人」は、同時にアニマルスピリッツが強い人(理性に偏りすぎずに革新的な挑戦をする人)でもありますから、扁桃体が優位になりがちな場合もあります。

でも、そこでぐっとセルフコントロールをする。前頭葉の働きに従う。扁桃体を中心とする感情の力学がコントロールしにくい人であればあるほど、それをおさえつけよう、コントロールしようとすることで、精神的に強くなれます。

つまり、扁桃体の働きが優位な人は、前頭葉が優位なもう1人の自分をつくるのです。そして、扁桃体のアクセルに前頭葉がブレーキをかけるようにセルフコントロールするのです。

時には鈍感になることも大切

インターネットが浸透した現代社会では、不確かな未来を予測し、立ち向かうには、膨大な情報を集め、敏感に反応することが求められています。しかし、そんな時代だからこそ「鈍感力」も必要だと思うのです。

以前、ラジオの仕事でスタッフと話していて「なるほどな」と思ったことがありました。それは、「Twitterで書き込まれる意見に合わせた番組づくりをすると、99%のリスナーが逃げてしまう」というものでした。

そもそもラジオとTwitterは相性がいいと言われていて、ほとんどのラジオで番組への意見や書き込みなどをTwitterで募集しています。ところが、Twitterの書き込みをしているリスナーというのは全リスナーのわずか1%程度で、いい意味でも悪い意味でも偏った意見が多いのだそうです。

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