「幸福な人」と「不幸な人」を分けるのは何なのか 幸福になることよりも「不幸」に気をつけよ

拡大
縮小
すべての人が幸福を求めるとしても、「幸福」についての考えは同じではありません (写真:Graphs/PIXTA)
幸せになりたい。誰もが願うことだが、そもそも「幸福」とは何なのか。「世界最高の知の巨人たちが考えた思考の型が1フレーズですっきりわかる」をコンセプトに執筆された『哲学100の基本』を上梓した著者が、「幸福」とは何か、という根源的な問いについて、哲学者がどう考えてきたか、さまざまな視点を交えて語る。

古今東西、どうしたら幸福になることができるのか、さまざま語られてきました。

「幸福論」というジャンルもありますし、「3大幸福論」と呼ばれる著作も19世紀末から20世紀にかけて書かれています。今日でも、幸福論に関する本がよく読まれています。

しかし、「現代人は幸福論を読むほど不幸なのか?」と疑問に思うかもしれません。

現代人が幸福か不幸かは別にして、すべての人が幸福を求めていることは否定できません。パスカルは、やや皮肉な表現で次のように書いています。

すべての人は、幸福になることをさがし求めている。それには例外がない。どんな異なった方法を用いようと、みなこの目的に向かっている。ある人たちが戦争に行き、他の人たちが行かないのは、この同じ願いからである。この願いは両者に共通であり、ただ異なった見方がそれに伴っているのである。(中略)幸福になることこそ、すべての人間の行動の動機である。首を吊ろうとする人たちまで含めて(『パンセ』)。

たしかに、すべての人が幸福を求めるとしても、「幸福」についての考えは同じではありません。いったい、幸福とは何なのでしょうか?

幸福は幸福感なのか?

幸福について考えるとき、すぐさま思い浮かぶのは、客観的な幸福と主観的な幸福の区別です。客観的な幸福は、幸福のリストが作成されるかもしれません。

次ページ幸福とは「幸福感を抱く」こと?
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT