「幸福な人」と「不幸な人」を分けるのは何なのか 幸福になることよりも「不幸」に気をつけよ
病気よりは健康のほうが幸福だし、貧しいよりは豊かなほうが幸福でしょう。
しかしながら、はた目では何不自由のない生活をしている人が、あまり幸福を感じていないこともあります。逆に、それほど裕福とは思えない状況でも、幸福を感じる人は少なくありません。
しばしば発表される幸福度ランキングでは、経済的に裕福でない国が上位になる場合もよくあります。
そう考えると、幸福とは、各人が心の中で感じることであり、主観的な性質と見なすこともできそうです。つまり、「幸福とは幸福感を抱くことである」と。そこで、次のような思考実験を考えてみましょう。
思考実験:装置の中の幸福
あるとき、あなたに次のようなヴァーチャル装置が手に入ったとします。その装置を使うと、あなたは日ごろ抱いていた希望が叶い、幸福を感じることができるのです。
たとえば、その装置の中では、仕事もうまくいき、莫大な富を手に入れ、人間関係も思った通りに進むのです。ただし、それは、この装置を使っているときだけ可能であり、その装置から離れると、元の生活に戻ってしまいます。
また装置から離れるためには、使っているとき、自分でスイッチを切らなくてはならない、とします。このとき、あなたはこの装置を使いますか?
今だったら、メタバースの世界を思い浮かべる人がいるかもしれません。リアルな世界とは異なるヴァーチャルな世界で、自分の思い通りの生活ができるなら、魅力的ではないでしょうか。もし、「幸福=各人の幸福感」であれば、一生この装置を使いつづけたいと思うのではないでしょうか。
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