では、現状の単価/料率が最適か否かをどのように判断していけばいいのかを確認していきます。
アプローチ① 「元請け⇔下請け⇔孫請け」の多重構造の分解
直接の取引先企業が元請けとなり、現場の実務作業や施工を下請け企業に再委託している場合です。一般的には、全国展開している企業が、拠点の施設管理や物品の調達、物流などを一括して1社に委託していることが多いでしょう。元請け企業と下請け企業は共に利幅を確保する必要があるため、複数企業が関わる多重構造になるほど割高な料金になります。
また、発注元企業からすると、元請け企業がどこに再委託しているのか、また現場での実作業はどうなっているのかが見えづらくなり、結果的に個別のサービスの価格の妥当性も評価しづらいというデメリットがあります。
よって、元請け/下請け/孫請け企業のそれぞれの役割/機能が何であるかを把握することに加えて、「元請け⇔下請け⇔孫請け」間の取引価格水準を把握することで、市況と比較したときの各社への発注単価やマージンの最適化が可能となります。
業務委託コストのブラックボックス化を防ぐ
アプローチ② 業務委託先の工程別でのコスト分解
印刷物や物流、IT開発などを他社へ業務委託している場合、その工程を個別に分解することでバリューチェーンごとにかかるコストや工数の妥当性を精査します。本来、自社の企業競争力とは直接関係しない組織や業務内容(ノンコア領域)であれば、専業の業務委託企業を活用することは有効な手段です。
一方で、業務委託企業では、できる限り広範囲の業務を受託することで、売り上げ規模を上げると同時に、他社への変更にかかるスイッチングコストを引き上げることで、中長期的に高い利益水準を維持しようとします。そのため、業務委託先を適正に管理/マネジメントできないと、業務実態やコストの内訳がブラックボックス化し、結果的に割高な料金のまま、延々と継続せざるをえない状況に陥ります。
よって、業務委託先の各工程において、作業内容と作業費(単価×工数)をつねに把握すると同時に、使用/利用されている材料やモノの単位までコスト構造を分解することで、見直し余地が見えてきます。
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