コロッケ100グラムの原価を「見える化」する理由 購買体制、発注・調達単価を最適化する方法

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

アプローチ④ 他社との協業や共同購買で限界突破

他社との協業(共同購買や共同発注、共同委託)によって、自社の取引規模以上に大きな取扱金額をベースとしたディスカウント効果や効率化によるコスト低減を実現します。一般的には、同業他社等との共同購買/発注/委託と言われているものですが、実現するスキームは下記の3つに分類されます。

【共同購買/発注/委託を実現する3つのスキーム】
1.同業他社との共同購買(自社主導)

競合他社と協力できる領域(調達や物流)では共通のオペレーション基盤を構築し、さらなる効率化を実現すると同時に、サプライヤー企業に対する交渉力を高める
2.共同配送(取引先主導)
サプライヤー企業側のプラットフォーム上に参加し、自社の10倍以上のスケールメリットや効率性を享受できる可能性がある。卸業者や商社を活用する効果と類似
3.協同組合への加入(団体への加盟)
購買や発注規模が限定的な地場系の中小企業が協同組合などの団体に加入することで、数桁大きな事業規模レベルの単価や料率水準での取引が可能

同業他社との協業では、例えば、ハウスメーカー4社(旭化成ホームズ、住友林業、三井ホーム、積水化学工業)の共同購買や、ビール業界大手2社(アサヒ、キリン)の共同配送の事例があります。

良好な関係を維持しながら安値を引き出す

STEP5 発注/調達単価の最適化

企業の調達/発注担当者であれば、つねにコストの削減を経営層から要求されます。また年間計画の一部として、部署や個人に対し「費用全体を▲3%~▲5%削減せよ」といったコスト削減の定量目標を課せられます。

一方で、取引先企業に対し、一律に「価格を▲5%下げてください」と依頼したところで、大半は「価格はこれ以上、下げられない」「値下げしたら赤字です」など、実質ゼロ回答が返ってくるだけです。

また、取引上で弱い立場にあるサプライヤー企業側に対し、無理やり値下げを求めても、中長期的に良好な取引関係を継続することが難しくなります。ここで目指すべきは、「無理やり価格を下げてもらう(コスト削減を強要する)」のではなく、「見直し余地がある単価や料率を見極め、市況の適正水準に修正してもらう」というスタンスです。

相見積もりやリバースオークション(買い手が売り手を選定する逆[Reverse]のオークションで、一般的には競争入札のこと)により、複数のサプライヤー企業を競わせることも安値を引き出すには有効な手段です。

次ページ関わる企業が多いほど割高になってしまう
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事